最新記事

シリア

トランプ政権、シリアにミサイル攻撃 ロシアは侵略行為と非難

2017年4月7日(金)17時42分

4月6日、米当局者によると、シリア政府軍が禁止されている化学兵器を使用したとされ、多数の死者が出たことを受けて、米軍は巡航ミサイルによるシリア空爆を開始した。写真は、シリアでの化学兵器使用について語るトランプ米大統領。ワシントンで5日撮影(2017年 ロイター/Yuri Gripas)

トランプ米政権は6日、内戦が続くシリアで、アサド政権軍の支配下にある空軍基地に対し巡航ミサイルによる攻撃を行ったと表明した。シリアで今週、禁止されている化学兵器を使用したとみられる空爆で多数の死者が出たことを受けた対抗措置。

米国防総省の報道官は、地中海東部に展開する米海軍の2隻の駆逐艦から、59発の「トマホーク」ミサイルがシリア政府軍の空軍基地の航空機、防空システム、燃料貯蔵庫などに向けて発射されたと述べた。

「アサド政権の行動を変えようとする長年の試みはすべて失敗、それも劇的な失敗に終わった」とトランプ大統領は攻撃後の記者会見で語った。今回の米軍による攻撃について「化学兵器の拡散・利用を防ぐことが米国の安全保障上の重要な利益だ」と述べた。

中国の習近平国家主席と首脳会談に臨んでいるトランプ大統領の別荘「マール・ア・ラーゴ」で会見した。

攻撃は米東部時間6日午後8時45分(7日0045GMT)ごろに行われ、シリア政府軍の司令官によれば、これにより6人が死亡した。

「議論の余地なし」

トランプ大統領は「今夜、化学兵器を使用した攻撃の拠点となったシリアの飛行場に対し、軍事攻撃を命じた」と述べ、「シリアが禁止されている化学兵器を使用し、化学兵器禁止条約に違反し、国連安全保障理事会の求めを無視したことに議論の余地はない」と付け加えた。

シリア北西部のイドリブ県では4日、化学兵器を使用したとみられる空爆があり、こどもを含む少なくとも70人が死亡している。

トランプ大統領は5日、この空爆はアサド政権によるものと非難。6日にはアサド大統領に対し「何かが起こるべきだ」との考えを示していた。

トランプ大統領は外交上で北朝鮮や中国、イラン、イスラム国など多くの問題に直面しており、今回の化学兵器使用を受けた比較的素早い対応は、友好国や敵対国に、必要なら武力行使をいとわない決意を見せる意図があった可能性もある。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米肥満薬開発メッツェラ、ファイザーの100億ドル買

ワールド

米最高裁、「フードスタンプ」全額支給命令を一時差し

ワールド

アングル:国連気候会議30年、地球温暖化対策は道半

ワールド

ポートランド州兵派遣は違法、米連邦地裁が判断 政権
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2人の若者...最悪の勘違いと、残酷すぎた結末
  • 3
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統領にキスを迫る男性を捉えた「衝撃映像」に広がる波紋
  • 4
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 7
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 8
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 9
    なぜユダヤ系住民の約半数まで、マムダニ氏を支持し…
  • 10
    長時間フライトでこれは地獄...前に座る女性の「あり…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 7
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 10
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中