最新記事

タックスヘイブン

パナマ文書、中国の現状を解剖する

「パナマ文書」スキャンダル の発端になった法律事務所モサック・フォンセカのロゴ Carlos Jasso-REUTERS

 各国指導層がタックスヘイブンに不正蓄財していることを暴露したパナマ文書が衝撃を与えている。その中に習主席の親戚を始め現在や過去の指導層の血縁者の名がある。件数は中国が世界一とのこと。その真相を追う。

パナマ文書の中にある中国指導層関係者

 パナマ文書に関しては、すでに多くのメディアが報道しているので、今さら詳細な説明は必要ないとは思うが、簡単に要点だけをおさらいしておこう。

 パナマ文書とは国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ: International Consortium of Investigative Journalists)が、税金を逃れるためカリブ海のタックスヘイブン(租税回避地)に世界各国の指導層の一部を含めた富裕層が設立した会社などを暴露した機密文書である。パナマの法律事務所から漏洩したため、その名がある。昨年、匿名人物によってドイツの新聞社「南ドイツ新聞」に通告され、その後ICIJに依頼して、80カ国のジャーナリスト約400名によって分析発表された。それによれば、パナマ文書にはオフショア金融センターを利用する21.4万社の会社の詳細が書かれているという。

 問題は、パナマ文書の中には(以下、敬称略)、習近平の親族を始め、張高麗や劉雲山など現役のチャイナ・セブン(習近平政権における中共中央政治局常務委員7名)の親族、あるいは曽慶紅、胡耀邦、果ては毛沢東の親族までが名を連ねているということだ。

阿波羅新聞網」によれば、それらの関係者の名前は以下のようになる。

1.習近平(国家主席):習近平の姉の夫、トウ家貴が、オフショア会社2社の董事長で株主。

2.劉雲山(チャイナ・セブン、党内序列ナンバー5。イデオロギー担当):息子・劉楽飛の妻・賈麗青(エール大学MBA)が、オフショア会社1社の董事長で株主。

3.張高麗(チャイナ・セブンの党内序列ナンバー7。国務院第一副総理):娘婿の李聖溌がオフショア会社3社の董事長および株主。

4.李鵬(元国務院総理、1987年~1998年):娘の李小琳がオフショア会社1社の董事長および株主。

5.曽慶紅(元国家副主席、2002年~2007年):実の弟・曽慶淮がオフショア会社1社の董事長。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

再送イラン、イスラエル報復攻撃開始 数百発のミサイ

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、中東緊張で安全資産に資金流

ワールド

米軍、ミサイル撃墜でイスラエルを支援=当局者

ワールド

ロシア大統領、イスラエル・イラン首脳と個別電話会談
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラドールに涙
  • 3
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 4
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタ…
  • 5
    ふわふわの「白カビ」に覆われたイチゴを食べても、…
  • 6
    ひとりで浴槽に...雷を怖れたハスキーが選んだ「安全…
  • 7
    猫に育てられたピットブルが「完全に猫化」...ネット…
  • 8
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 9
    プールサイドで食事中の女性の背後...忍び寄る「恐ろ…
  • 10
    救いがたいほど「時代錯誤」なロマンス映画...フロー…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中