最新記事

【2016米大統領選】最新現地リポート

アイオワ州党員集会 共和党は正常化、民主党は異常事態へ

「トランプ惨敗」で共和党が正常化に向かう一方、サンダースの健闘にヒラリーは大苦戦

2016年2月2日(火)19時30分
冷泉彰彦(在米ジャーナリスト)

意外な逆転 共和党でトップに立ったテッド・クルーズは、事前の予想を大きく超える支持を集めた Jim Young-REUTERS

 2月1日にアイオワ州で党員集会が開催され、この日をもって長い長い予備選レースが動き出した。予備選は、まったく筋書きのないドラマ。毎回ではあるが、アイオワ州では「何かが起きる」と言われ、今回もその「何か」が起きた。

 まず共和党では、トランプ、クルーズが「1位・2位」になる可能性が高いという下馬評があり「3位はルビオ」という予想もされていた。こうした予想は間違いではなかった。だから「クルーズ、トランプ、ルビオ」という順位は、決して番狂わせとは言えない。

 問題は得票率。事前の世論調査(アイオワ州)では「トランプ(29%)」「クルーズ(14%)」「ルビオ(17%)」というのが平均値だった。ところが、フタを開けてみれば「クルーズ(28%)」「トランプ(24%)」「ルビオ(23%)」という結果だった。

 これは、何を意味するのか? 簡単にいえば、「トランプ惨敗、ルビオ善戦」という評価ができる。つまり、事前の世論調査では出てこなかったが、本番の党員集会となると「やはりトランプでは不安」だということ、そして「トランプの組織力が弱い」という問題が露呈したという解説だ。クルーズが勝ったというより、トランプが負けたことの方が重要、これは多くの識者が指摘している。

 一方ルビオに関しては、これまで「第3グループ」とか「第2グループ」と言われていたが、堂々と「先頭集団」に入っただけでなく、党内の「実務派のプロ政治家」代表という地位をほぼ固めたということが言えそうだ。少々気が早いかもしれないが、今回惨敗した(2%)ジェブ・ブッシュが撤退して支持に回れば、一気に勢いが出るかもしれない。

【参考記事】悩める共和党の見えない自画像

 民主党に関しては、事前の調査でもヒラリーはかなり追い込まれていたので、こうなったら辛勝でも良いと腹をくくっていたのだろう。だが本当にここまでの僅差(1%以下の差)になるとは予想していなかったのでないか。ヒラリーとしては「負けなかった」にしても、50%対49%ということは事実上タイであり、大苦戦と言っていいだろう。

 来週予備選が行われるニューハンプシャー州は「サンダースの地元」なので、ほぼ勝利は確定している。こうなるとサンダースにはさらに勢いが出てくることが予想される。CNNの報道では、今回の党員集会と並行して実施された出口調査で「政治家として人間的に信頼できるか?」という項目があり、ヒラリーが11%だった一方でサンダースは80%という恐ろしい差が出ているという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

プーチン氏、和平案「合意の基礎に」 ウ軍撤退なけれ

ワールド

ウクライナ、和平合意後も軍隊と安全保障の「保証」必

ビジネス

欧州外為市場=ドル週間で4カ月ぶり大幅安へ、米利下

ビジネス

ECB、利下げ急がず 緩和終了との主張も=10月理
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果のある「食べ物」はどれ?
  • 4
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 5
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 6
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 7
    がん患者の歯のX線画像に映った「真っ黒な空洞」...…
  • 8
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 9
    ウクライナ降伏にも等しい「28項目の和平案」の裏に…
  • 10
    ミッキーマウスの著作権は切れている...それでも企業…
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 3
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 4
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 5
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 6
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 9
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 10
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中