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中央アジア

謎の眠り病は放射能のせい?

突然睡魔に襲われ、数日間眠り続ける奇病がカザフスタンで流行中

2015年3月18日(水)18時22分
フェリシティ・ケーポン

原因不明 一酸化炭素中毒や集団ヒステリーまでさまざま説はあるが RT Documentary/YouTube

 昼夜を問わず突然、猛烈な睡魔に襲われ、数日間にわたって昏睡状態が続く──そんな謎の病気がカザフスタン北部の小さな村カラチで流行している。

 この「眠り病」が村で最初に報告されたのは13年3月。それ以来、既に患者は120人、発症回数は延べ150回以上に達している。先週から9度目の流行が始まり、村民は不安を募らせている。

 患者は職場や学校などで突然眠りに落ち、それから数日間、周囲がどれほど呼び掛けても目を覚ますことなく眠り続ける。目覚めた後に倦怠感や頭痛、精神不安、記憶障害などの症状が数週間にわたって続く場合も少なくない。子供を中心に、幻覚に襲われるケースも報告されている。

 さらに恐ろしいのは、この病気の原因が分からないこと。一酸化炭素中毒から集団ヒステリーまでさまざまな説が飛び交っているが、現地で調査活動に当たるトムスク科学技術大学(ロシア)のレオニド・リクバノフ教授は、村の近くにあるソ連時代のウラン鉱山が原因ではないかと考えている。

 リクバノフによれば、20年以上前に閉鎖されたこの鉱山から放射性を帯びたラドンガスが放出されているという。「ラドンガスが麻酔薬のような働きをしている可能性がある。現在、鉱山の地下空間は水に漬かっており、ガスが地上に押し出されている」と、彼は言う。

 実際、患者の症状は放射線被曝による慢性疲労症候群の場合とよく似ている。現時点では推測の域を出ないが、もしこの説が正しければ、この地域の眠り病発症者は今後も増え続ける可能性が高い。

 当局は先週、650人ほどの村民を数週間以内に別の地域に避難させる計画を発表した。だが、眠り病が体に長期的な影響を及ぼすのかどうかも分からない状況のままでは、彼らが安心して暮らせる日はまだ当分訪れそうにない。

[2015年3月17日号掲載]

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