最新記事

東南アジア

外国人排斥に走るシンガポール国民の本音

2014年6月6日(金)12時47分
モン・パラティーノ

政府批判の抗議集会も

 リーは恐らく、外国人への反発の背景には、政府に対する不満があることに気付いているのだろう。既にシンガポールの人口の40%近くは外国人が占めている。こうした外国人労働者の増加が、一向に上がらない賃金水準から公共交通の混雑まで、さまざまな社会環境悪化の元凶になっていると、多くの国民が考えている。

 そうしたなかで昨年初め、政府は外国人労働者の数をさらに増やす方針を表明。以来、業を煮やした市民が大規模な抗議集会を開くようになった。

 シンガポール政府はそろそろ、外国人排斥ムードを高める一因となった社会政策を本気で見直すべきだ。そうしなければ、いずれもっと深刻な摩擦に直面する恐れがある。

 一方、フィリピン側も自国の政策を真剣に見直す必要があるだろう。労働力の輸出政策はもともと70年代、国内の余剰労働力を生かすための一時的措置として始められた。しかし今では、最高水準の技能を持つ労働者の流出や国内産業の人手不足を招いている。

 フィリピン政府が今後取り組むべきなのは、国民が外国で独立記念日を祝う手助けをすることではなく、彼らが国に帰りたくなるような環境を整えることだろう。

 シンガポールもフィリピンも、自国民の生活環境を良くするため、迅速かつ積極的に行動を起こすこと。それが問題解決への一番の近道だ。

From thediplomat.com

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

シャープ、26年3月期以降に特損149億円 亀山工

ワールド

中国、国防産業監督機関の元幹部を汚職で起訴

ワールド

「台湾独立」勢力は断固取り締まるべき、中国共産党幹

ビジネス

英バークレイズ、25年は12%増益、新たな業績目標
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 2
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...周囲を気にしない「迷惑行為」が撮影される
  • 3
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トランプには追い風
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 6
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 7
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 8
    変わる「JBIC」...2つの「欧州ファンド」で、日本の…
  • 9
    衆院選で吹き荒れた「サナエ旋風」を海外有識者たち…
  • 10
    「二度と見せるな」と大炎上...女性の「密着レギンス…
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 5
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 6
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 7
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 8
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 9
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 10
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入っ…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 4
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 7
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 8
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 10
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中