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米大統領

オバマ家の夏休みに文句をつけるな

2010年8月18日(水)17時21分
アン・アップルボム(ジャーナリスト)

 問題は、8月上旬に妻ミシェルが次女のサーシャを連れてスペインに旅行し、スペイン国王と昼食をともにしたこと。アメリカ国民はこのニュースに怒り心頭。許しを乞うため、オバマ一家は先週末、フロリダ州パナマシティに海水浴に出かけ、カメラの前でミニゴルフをしたり、原油流出事故の影響がないことについて話したりした。

 オバマ一家は心からリラックスできたに違いない。そう、ゴールデンタイムにテレビに出演したり、大勢の聴衆に向けてスピーチしたり、大観衆の前で演技をするのと同じくらいに。

 オバマがメキシコ湾岸を訪れ、ビーチが原油まみれでないことをアピールできたのはよかったし、そのおかげでこの地域に観光客が戻るのなら素晴らしい。だが、それにしても一家はなぜ休暇を楽しんでいる振りをしなければならなかったのか。アメリカ人はなぜ、大統領一家が政治的に正しい環境で「リラックスする」姿を要求するようになったのか。

大統領に「普通」を求める愚かしさ

 一家が休暇を心から楽しんでいるわけでないこと、テレビカメラの前でミニゴルフをしても楽しくないことは、誰もがわかっている。それなのに、テレビのリアリティー番組や史実を参考にしたハリウッド映画に慣れきっている私たちは、お膳立てされた「現実」に毒されていて、大統領にさえシナリオ通りの演技を要求する。国を率いるべき大統領に「普通」であることまで求めるなんて、あまりに馬鹿げている。

 オバマ一家に夏休みをあげよう。行きたいところへ行き、したいことをすればいい。オバマは筋トレやバスケットボールを楽しみ、ミシェルは好きな小説を読み、会いたい人とランチをすればいい。

 数週間の間、大統領ファミリーの動向を話題にするのはやめよう。8月中旬とは、そういう時期なのだから。大統領ファミリーの夏休みを追いかけるよりも、自分の休暇を楽しもうじゃないか。 

Slate.com特約)

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