最新記事

ノーベル賞

「オバマ受賞」に憤る人ベスト6

サルコジからブラピまで、ノーベル平和賞の行方に「異議アリ!」の面々

2009年10月13日(火)18時09分
ケイティ・コノリー(ワシントン支局)

賛否両論 サプライズ受賞にオバマ自身も困惑気味だ(10月9日) Jason Reed-Reuters

 バラク・オバマはアメリカ大統領の座を勝ち取り、著書のオーディオブックでグラミー賞最優秀朗読アルバム賞にも輝いた。そして、今度はノーベル平和賞だ。いまやオバマが手に入れられないのは、アリゾナ州立大学の名誉学位くらいのものだ(オバマは今年5月に同大学の卒業式でスピーチしたが、大学側は「業績不足」として名誉学位の授与を見送った)。

 ただし、この受賞を不快に思っている人は少なくない。なかでも特に強い憤りを感じているであろう6人をリストアップした。

(1)ニコラ・サルコジ
 
 オバマの友人でありライバルでもあるサルコジ仏大統領は、米大統領の「影」として生きることにすでに嫌気が差している。

 ファッションセンス抜群で有名人の妻を得て、サルコジは世界のどの指導者よりもスポットライトを浴びる存在だった。ところがオバマ大統領の誕生によって突然、栄光の座を追われる羽目に。数カ月後には、オバマをうぶで経験不足とけなしたことが発覚。オバマのノーベル賞受賞が報じられた10月9日朝には、オバマへの「心からの喜び」を表明したが、本音では「消え失せろ」と思っていることだろう。

(2)ミシェル・オバマ

 汗臭くていびきのうるさい夫が大統領になったと思ったら、次はノーベル賞。ファーストレディのミシェルは、夫が過剰なうぬぼれに溺れないよう日々格闘しているはずだ。今では、夫に家事の手伝いをさせるのも一苦労では?

(3)ビル・クリントン

 オバマ受賞のニュースを聞いたクリントン元大統領は、静かに怒りを爆発させたことだろう。オバマは大統領選で妻ヒラリーを打ち破った。さらに、黒人に人気の高かった自分を差し置いて「初の黒人大統領」の称号まで手に入れた(大統領選の最中にオバマを批判したクリントンの発言が人種差別と非難される事件もあった)。

 そして、今度はノーベル賞。クリントンは妻の前で何度、無様な姿をさらさなくてはならないのか。

 冗談はさておき、クリントンはルワンダの大量虐殺に対して行動を起こせなかったことをひどく気に病んでおり、大統領の任期の後半を平和の追求に捧げた。北アイルランド和平を推進し、仲介役として友人のジョージ・ミッチェルを派遣した。バルカン半島の安定のために米軍を派兵し、キャンプデービッドでの中東和平交渉では歴代大統領の誰よりも合意に近づいた。

 それでも、ノーベル賞には縁がなかった。副大統領だったアル・ゴアでさえ受賞したのに。しかも、今回オバマが受賞したことで、ノーベル賞委員会が近い将来、米大統領経験者に平和賞を与える可能性はほとんどなくなった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

鈴木財務相「財政圧迫する可能性」、市場動向注視と日

ワールド

UCLAの親パレスチナ派襲撃事件で初の逮捕者、18

ワールド

パプアニューギニアで大規模な地すべり、300人以上

ワールド

米、ウクライナに2.75億ドル追加軍事支援 「ハイ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:スマホ・アプリ健康術
特集:スマホ・アプリ健康術
2024年5月28日号(5/21発売)

健康長寿のカギはスマホとスマートウォッチにあり。アプリで食事・運動・体調を管理する方法

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発」で吹き飛ばされる...ウクライナが動画を公開

  • 2

    「なぜ彼と結婚したか分かるでしょ?」...メーガン妃がのろけた「結婚の決め手」とは

  • 3

    アウディーイウカ近郊の「地雷原」に突っ込んだロシア装甲車2台...同時に地雷を踏んだ瞬間をウクライナが公開

  • 4

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 5

    なぜ? 大胆なマタニティルックを次々披露するヘイリ…

  • 6

    黒海沿岸、ロシアの大規模製油所から「火柱と黒煙」.…

  • 7

    批判浴びる「女子バスケ界の新星」を激励...ケイトリ…

  • 8

    これ以上の「動員」は無理か...プーチン大統領、「現…

  • 9

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 10

    戦うウクライナという盾がなくなれば第三次大戦は目…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気を失った...家族が語ったハマスによる「拉致」被害

  • 3

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の「ロイヤル大変貌」が話題に

  • 4

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 5

    ウクライナ悲願のF16がロシアの最新鋭機Su57と対決す…

  • 6

    戦うウクライナという盾がなくなれば第三次大戦は目…

  • 7

    黒海沿岸、ロシアの大規模製油所から「火柱と黒煙」.…

  • 8

    能登群発地震、発生トリガーは大雪? 米MITが解析結…

  • 9

    「天国にいちばん近い島」の暗黒史──なぜニューカレ…

  • 10

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 6

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中