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身体の中に病院を作る!? 血中でデータ通信する「ナノマシン」が現実に

2016年10月12日(水)06時15分
ライアン・マシュー・ピアソン (c) ReadWrite[日本版]編集部



身体の中に病院を作る!? 東京大学大学院工学系研究科マテリアル工学専攻の片岡一則教授


ナノマシンの活用方法

 医療以外の用途としては、環境データの収集や在庫管理、工業モニタリングが考えられるだろう。

 また、ナノテクノロジーの開発のために、米政府によって作られたNational Nanotechnology Initiativeという豊富な資金の団体もある。ナノテクノロジーを構想段階から市場レベルにすることを目的にしたこの団体は、2001年からこれまで15年間で政府から220億ドル以上の資金を受け入れている。

 さて、これらのデバイスが効率的に動作するためには、デバイス間におけるナノサイズのIoT通信が必要となる。

 そのために、現在ジョージア工科大の専門チームをはじめ、さまざまな分野の研究者たちによってあらゆる可能性が模索されているところだ。

 ナノデバイスの大きさから、実際に送受信が可能なデータの種類はかなり限られてくるはずだ。たとえば、デバイスをWiFiに直接接続することはできない。だが、デバイスよりも少し大きくより機能に恵まれたナノサイズのルーターを使い、ゲートウェイにデータを送ることは可能だろう。

 ともあれあと10年、IoTがどのように進化するかは興味深い。技術が進化すれば、デバイスはそれだけ小さくなり、さまざまな分野を超えたコラボレーションの可能性が広がるだろう。この概念が人類にもたらす技術の進化は、これまでの価値観のすべてを覆すことになりそうだ。


  

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ReadWrite[日本版]編集部

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