目に見えない微生物で持続可能な農業を実現...化学メーカー、ナガセケムテックスが見据える未来
菌根菌資材amxact™の実験圃場。土壌に生息する微生物を用いて持続可能な農業を目指している
<持続可能な農業を実現する鍵は、土壌の中にあった。ナガセケムテックスのアグリ事業は、アーバスキュラー菌根菌(AMF)を武器に、環境と収益性の両立を追求する>
日本企業のたとえ小さな取り組みであっても、メディアが広く伝えていけば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく──。そのような発信の場をつくることをミッションに、ニューズウィーク日本版が立ち上げた「SDGsアワード」は今年、3年目を迎えました。
私たちは今年も、日本企業によるSDGsの取り組みを積極的に情報発信していきます。
気候変動の影響が農業に深刻な影を落としている。高温障害や干ばつの頻発により、作物の収穫量が不安定化し、農家の経営にも大きな打撃を与えているのに加え、化学肥料の過剰使用による土壌や水質の汚染も、持続可能な農業の妨げとなっている。
こうした課題に、今まで培ってきた技術を活かして立ち向かおうとしている企業がある。NAGASEグループの中核を担う化学品メーカー、ナガセケムテックス株式会社だ。
土壌に生息する微生物で温暖化に立ち向かう
ナガセケムテックスは、電子部品用封止材、半導体薬液、機能化学製品といったさまざまな分野に製品を供給してきた。長年にわたる化学技術の蓄積と独自の配合設計、加工、評価技術を強みに、近年ではライフサイエンスやアグリ分野への展開を加速させている。
こうした技術基盤を活かし、2020年にスタートさせたのが、土壌に広く生息する糸状菌の一種であるアーバスキュラー菌根菌(AMF)を活用した土壌改良資材「amxact™(アムザクト)」の開発だ。

この事業の責任者を務めるのは、イノベーション推進本部アグリ・ニュートリション資材開発室の鈴木信太郎室長だ。鈴木室長は「気候変動の猛威は、農業の未来を脅かしています。困難と戦う生産者の方々の「力になりたい」。それが、私たちの開発の原動力です」と語る。
amxact™は、AMFが植物の根と共生し、土壌中のリン酸や水の吸収を助けることで、乾燥や高温といった気候変動によるストレス下でも作物の安定した成長を支える機能を持つ。

特に近年の異常気象が農業現場に深刻な影響を及ぼす中で、amxact™は作物の収穫量維持と土壌の健全化を同時に実現するソリューションとして注目されている。
最大の技術的課題は、AMFの「純粋培養」だった。従来、AMFは共生植物と共に培養する方法しかなく、菌の品質が安定しない上、大量生産が難しかった。しかし、ナガセケムテックスは、基礎生物科学研究所と連携し、AMFの純粋培養技術を世界に先駆けて工業化することに成功。
これにより、いつどこで使用しても安定した効果が期待できる資材の供給体制を確立した。加えて、常温での輸送・保存が可能な乾燥耐性素材への加工技術(特許出願中)も開発。現場での使いやすさとコストパフォーマンスの両立も実現した。
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