最新記事
SDGs

【SDGsホンネ座談会】「意識が高いという自覚はない」「SDGsは当たり前...」学生が感じる「サステナビリティ意識の世代差」

2024年8月2日(金)17時00分
写真:林 直幸 文:酒井理恵

──周りの友人との間でギャップを感じることはありますか?

児玉:あまりないですね。本当に厳密に言ったらサステナブルじゃない行動をしている人はいるかもしれませんが、「サステナブル? なにそれ」といった反応は聞いたことがありません。私がそういったことに関心が高いことを皆は知っているので、気を遣われているのかもしれませんが...

藤田:自分たちみたいに(SDGsへの関心が高い)コミュニティにどっぷりと浸かっていると、いわゆる「意識高い系」だらけですし、慶応義塾大学もおそらく世間的に見ればたぶんそういう人の割合は多いと思います。

宮沢:周りはやっぱりSDGsに関心の高い人が多いので、Instagramのストーリーを見ているだけでも自然に情報が入ってきますね。

藤田:ただ、中学校の同級生と話す際は、誰とでもSDGsの話題が出るわけではありません。やはり所属しているコミュニティによるのではないでしょうか。

──今、サステナビリティを意識してない人たちに対して、皆さんの力で何かを変えたいという思いはありますか?

鈴木:ありますね。所属するコミュニティ(環境・社会問題に取り組むZ世代のプラットフォーム「NAMIMATI(なみまち)」)の活動で街やビーチのゴミ拾いをしていると、「何してるの?」とよく声を掛けられます。


興味を持つことが最初のアクションなので、質問をされると「ひとつ輪が広がったかも」と嬉しく思います。逆に、私たちがゴミを拾っている目の前でポイ捨てをする人もいます。まだそういう世の中であることを自覚しますし、その人に対して何か興味を持つきっかけを少しでも与えられたら、なんて思うことも多いです。

宮沢:両親と妹と暮らしていますが、父はあまりサステナビリティに興味がありませんでした。そこで、「ミートフリーマンデー」を提案して、時々家族で実践しています。

ミートフリーマンデーとは、元ビートルズのポール・マッカートニー氏が提唱した、週1日、月曜日だけ肉を食べないという活動です。「体にいいかもよ」と別のメリットを提示したら、案外乗り気になってくれました。そういう風に、小さなことから周りの人を巻き込んでいくことが大事なんだと思います。

児玉:普段買うものから社会に貢献できたらいいなと皆が思っているものの、値段やデザインを理由にあまり選ばないことは多いと思います。

私が肌や環境、社会に優しい「クリーンビューティー」をコンセプトに起業したのも、自分が持っていて嬉しくなるような、クリーンさと可愛さを両立した化粧品を作りたいと思ったのがきっかけです。実際にまだ行動を起こせていない人たちに届けていきたいですね。

藤田:僕が来年入社する大手食品メーカーは、開示情報ごとに担当部署があります。BtoB向け、機関投資家向けの開示は発展しているのですが、消費者向けのサステナビリティ情報となると、目当ての情報に辿り着くまでのハードルの高さを課題に感じています。

食品を中心にさまざまな事業を展開しているので、来年からは僕も消費者との接点を増やす作業に貢献したい。社会の一員として、「サステナブルの輪」を広げていくことが目標です。

■前編はこちら

■中編はこちら

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

エヌビディア、半導体密輸対策に役立つ位置確認技術構

ビジネス

26年の最大のテールリスクはAI巡るサプライズ、ヘ

ワールド

インドネシアとの貿易協定、崩壊の危機と米高官 「約

ビジネス

米エクソン、30年までに250億ドル増益目標 50
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキング」でトップ5に入ったのはどこ?
  • 3
    トランプの面目丸つぶれ...タイ・カンボジアで戦線拡大、そもそもの「停戦合意」の効果にも疑問符
  • 4
    中国の著名エコノミストが警告、過度の景気刺激が「…
  • 5
    「韓国のアマゾン」クーパン、国民の6割相当の大規模情…
  • 6
    死者は900人超、被災者は数百万人...アジア各地を襲…
  • 7
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 10
    イギリスは「監視」、日本は「記録」...防犯カメラの…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中