羽生結弦がいま「能登に伝えたい」思い...被災地支援を続ける羽生が語った、3.11の記憶と震災を生きる意味

Lending a Helping Hand

2024年10月4日(金)17時11分
小暮聡子、大橋 希(本誌記者)
羽生結弦

9月15日のチャリティー演技会後、金沢市内で本誌の取材と撮影に応じた羽生結弦 TORU YAGUCHI FOR NEWSWEEK JAPAN

<東日本大震災を地元仙台で経験した羽生に聞く「能登への思い」「自分の責任」「幸せとは何か」――独占インタビュー(※取材は能登半島豪雨の前に実施)>

震災は人からあまりに多くのものを奪う。それが本質的に何であるかは、究極的には実際に経験した者にしか分からない。

同時に、もしも震災から得たものがあるとしたら──? それを伝えることができるのも、経験した者でしかないだろう。


2014年ソチ冬季五輪、18年平昌冬季五輪の連覇などを経て、22年7月にプロ転向を表明したフィギュアスケーターの羽生結弦。宮城県仙台市出身の彼は、初の金メダル獲得の約3年前の11年3月11日、地元で東日本大震災を経験した。

被災後の数日を家族と共に避難所で過ごし、本拠地のスケートリンクが閉鎖され満足に練習のできない時期も経験した羽生は、この13年間、被災者に寄り添い、日本各地の被災地に対して支援活動を行ってきた。

9月14日には、石川県金沢市内で、能登半島地震で被災した石川県、富山県、福井県の小学生を招いたスケート教室に参加。翌15日には「能登半島復興支援チャリティー演技会」と題したアイスショーに鈴木明子、宮原知子、無良崇人と共に出演した。

演技会は無観客だったが、被災地の珠洲市、輪島市、七尾市、志賀町でパブリックビューイングを実施するとともに、一般向けに有料配信を実施。その収益は石川県に寄付される(配信はLeminoで9月30日まで)。

羽生は演技終了後の囲み取材で、配信であるにもかかわらず石川県で滑った理由を聞かれ、「つらかった方々、いま現在つらいと思っている方々、いろんなことで悩んでいる方々の近くで滑りたいと思いました」と語った。

羽生が被災者に心を寄せ、震災の記憶を伝え続けるのはなぜなのか。彼がいま能登の人々に伝えたい思いがあるとしたら、それは何なのか。

本誌は9月15日、金沢市内で羽生に単独インタビューを行った。演技会終了から1時間半後、羽生はチャリティーTシャツ姿で取材場所に現れた。生地と染色、縫製まで全てが「メイド・イン・北陸」のそのTシャツの胸には、演技会のテーマとなった「CHALLENGE(挑戦)」の文字がある。

羽生に能登への思いを聞くと、そこで語られたのは彼自身が震災の記憶と共に挑戦を続けてきた、その道のりだった。(聞き手は本誌編集部・小暮聡子、大橋希)

◇ ◇ ◇


まちづくり
川崎が「次世代都市モデルの世界的ベンチマーク」に──「世界に類を見ない」アリーナシティプロジェクトの魅力
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

独化学大手BASF、一部で最大30%値上げ コスト

ビジネス

南ア2月インフレ率、目標の3%に低下 対イラン戦争

ワールド

レバノン各地でイスラエルの空爆、首都中心部で少なく

ワールド

カブールのリハビリ施設爆撃、死者数は143人=国連
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 2
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 3
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 4
    住宅建設予定地に眠っていた「大量の埋蔵金」...現在…
  • 5
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 6
    モジタバの最高指導者就任は国民への「最大の侮辱」.…
  • 7
    「ネタニヤフの指が6本」はなぜ死亡説につながったの…
  • 8
    ガソリン価格はどこまで上がるのか? 専門家が語る…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    「危険な距離まで...」豪ヘリに中国海軍ヘリが異常接…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 3
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製をモデルにした米国製ドローンを投入
  • 4
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 5
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 6
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 7
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 8
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 9
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 10
    住宅建設予定地に眠っていた「大量の埋蔵金」...現在…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中