最新記事

フィギュアスケート

これさえ知ればフィギュア通! 北京五輪男子代表3選手の神演技をおさらいする

2021年12月30日(木)18時05分
茜 灯里(作家・科学ジャーナリスト)
羽生結弦、宇野昌磨、鍵山優真

3選手ともメダルを獲得できる力を持つ(左から羽生結弦選手、宇野昌磨選手、鍵山優真選手) From Left:Massimo Pinca-REUTERS, Issei Kato-REUTERS, Ciro De Luca-REUTERS

<北京五輪でメダル獲得が期待される羽生結弦選手、宇野昌磨選手、鍵山優真選手──三者三様の魅力を彼らの代表的な過去の演技から解説する>

全日本フィギュアスケート選手権大会が26日に終了し、北京五輪の出場選手が決定しました。

日本に与えられている代表枠は、シングル男子3名、女子3名、ペア1組、アイスダンス1組です。男子は羽生結弦選手、宇野昌磨選手、鍵山優真選手、女子は坂本花織選手、樋口新葉選手、河辺愛菜選手、ペアは木原龍一・三浦璃来組、アイスダンスは小松原美里・尊組が選出されました。特に男子代表の3名は、今年3月に行われた世界選手権で2位から4位を占めており、北京五輪での複数メダル獲得の期待もかかります。

フィギュアのシングル競技は、ショートプログラム(SP)とフリースケーティング(FS)の2演技の合計点で競います。北京五輪をより深く楽しむために、今回は男子代表選手の今年のSPとFSの演技の見どころと、過去の代表的な名演技をご紹介します。

羽生結弦選手(27)──前人未到の偉業に挑戦する志の高さ

SP「序奏とロンド・カプリチオーソ」、FS「天と地と」

2014年ソチ五輪、2018年平昌五輪の2大会連続金メダリスト。2018年には23歳の最年少で国民栄誉賞(個人)を受賞しています。細身で優美なスタイルを持ちながら、闘志を表に出して有言実行するアグレッシブさが魅力の選手です。

今季のSPは、サン・サーンス作曲のバイオリンと管弦楽の協奏曲を、ピアニストの清塚信也さんがアレンジにしたものです。振付は「羽生結弦らしさ、羽生結弦にしかできない表現」を目指したと言います。初披露となった全日本選手権では、いきなり今季世界最高得点をマークしました。とくに採点で10点満点を出した「音楽の解釈」、つまり音楽と演技の調和が見どころです。

いっぽうFSは、昨季に続きNHK大河ドラマのテーマ曲です。昨季との最も大きな違いは、冒頭に前人未到の「4回転半ジャンプ」を予定していること。全日本選手権の12/23の公式練習では片足で着氷するなど、試合での成功まであと一歩のところまできています。4回転半ジャンプは、難易度や危険性に比べて配点が低く「割りに合わないジャンプ」です。それでも世界初の偉業にチャレンジしたいという羽生選手の志の高さが注目ポイントです。

羽生選手を語る上で外せない3つの演技があります。

1つ目は2012年世界選手権(仏ニース)のFS「ロミオとジュリエット」です。SP7位と出遅れ、FSでも中盤で転倒するアクシデントがありながら、ジャンプ、スピン、ステップの要素を完璧にこなす迫真の演技でFS2位となり、銅メダルを獲得しました。世界中のフィギュアファンが羽生選手に注目するきっかけとなり、「ニース落ち」(ニース大会の演技で羽生選手の大ファンになること)という言葉が流行するほどのブームが起こりました。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

利上げの是非、12月の決定会合で「適切に判断」=植

ワールド

南アはG20創設メンバーとラマポーザ大統領、トラン

ワールド

米州兵銃撃容疑者、入国後に過激化 国土安全保障長官

ビジネス

エアバス機、1日にほぼ通常運航へ 不具合ソフトの更
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業界を様変わりさせたのは生成AIブームの大波
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    メーガン妃の写真が「ダイアナ妃のコスプレ」だと批判殺到...「悪意あるパクリ」か「言いがかり」か
  • 4
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 5
    「世界で最も平等な国」ノルウェーを支える「富裕税…
  • 6
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 7
    コンセントが足りない!...パナソニックが「四隅配置…
  • 8
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 9
    中国の「かんしゃく外交」に日本は屈するな──冷静に…
  • 10
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 4
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 5
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 6
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 7
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 8
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中