最新記事

映画俳優

12歳子役の「最低主演女優賞」候補入りに批判殺到 子供のノミネートは過去にも

2023年1月30日(月)17時00分
千歳香奈子
ライアン・キーラ・アームストロング

第43回ラジー賞で最低主演女優賞にノミネート(後に撤回)されたライアン・キーラ・アームストロング Entertainment Weekly-YouTube

<『炎の少女チャーリー』に主演したライアン・キーラ・アームストロングのラジー賞ノミネートに対する批判を受け、主催団体が公式謝罪。最終投票の候補から外すと発表した>

アカデミー賞に対抗してその年の最低映画や俳優を決める不名誉な映画賞「ゴールデンラズベリー賞(ラジー賞)」に12歳の子役ライアン・キーラ・アームストロングがノミネートされたことを巡り、ネットに批判が殺到。「子供いじめ」と業界内からも厳しい声が上がり、主催団体がノミネートを撤回すると共に公式謝罪する騒動となった。

『炎の少女チャーリー』に主演したライアンは、23日に発表された第43回ラジー賞のノミネーションで最低主演女優賞の候補になっていた。

アカデミー賞の前日に毎年発表されるラジー賞は、それ自体が一種のジョークのようなユーモアある賞として知られ、B級映画や駄作だけでなく、今年もトム・ハンクス(『ピノキオ』)がノミネートされるなどオスカー受賞経験者が候補入りすることも珍しくない。

同賞はゴールデンラズベリー賞財団の会員およそ1100人による投票で決まるが、40ドル(更新は25ドル)の年会費を支払えば誰でも会員として投票する権利が与えられる。受賞者には8ミリフィルム缶の上に金色に塗装されたゴルフボール大のラズベリーがのった製作費4.79ドルのトロフィーが授与されるが、不名誉な賞を自ら受け取りに授賞式会場に足を運ぶスターはほとんどいない。

批判を受けて共同創設者が謝罪、今後18歳未満は対象外に

そんなラジー賞にライアンが選出されると、「子供をノミネートするのはやり過ぎ」「残酷」「若い才能をからかうのはフェアじゃない」と批判が殺到。ラジー賞の常連だったブルース・ウィリスが昨年、失語症と診断されて俳優を引退したことを受けて最低演技賞を撤回した前例に従い、ライアンのノミネートも取り消すよう呼びかける投稿もあった。

11歳の子役ジュリアン・ヒリードは、「ラジー賞はすでに意地悪で低俗だけど、子供をノミネートするのは不快で間違っている。なぜ、子供をいじめの増加または増長の危険にさらすのですか?」とツイート。その後も「ラジー賞はジョーク」と主張するユーザーに対し、「子供が関係する時はそうではない。非常に悪い影響を与える可能性がある。彼らは一線を越えた」と反論した。

また、兄と共に「アベンジャーズ」シリーズでメガホンを取ったジョー・ルッソ監督も、「私は彼女の演技を高く評価していた。これからも頑張りをけなし続けるなら(すべきではないが)、少なくとも対象は大人だけにすべき」とツイートし、ライアンを擁護した。

こうした批判を受け、同賞の共同創設者ジョン・ウィルソンは「いかに無神経であったかに気づかされた」と声明を発表。最終投票の候補からライアンを外すことを発表すると共に「傷つけて申し訳なく思っています」と公式に謝罪した。また、今後は18歳未満の子供を選考の対象外とすることも誓った。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米ウクライナ首脳、日本時間29日未明に会談 和平巡

ワールド

訂正-カナダ首相、対ウクライナ25億加ドル追加支援

ワールド

ナイジェリア空爆、クリスマスの実行指示とトランプ氏

ビジネス

中国工業部門利益、1年ぶり大幅減 11月13.1%
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌…
  • 5
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 6
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それ…
  • 7
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 8
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 9
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 10
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中