最新記事
BOOKS

推し活の危険性...お金ではなく、推しによる自己肯定感が実は危うい

2026年2月15日(日)16時45分
印南敦史 (作家、書評家)
推し活

写真は本文と関係ありません Yamatatsu-shutterstock

<推し活にハマる人々は多種多様。推しを亡くし「もう自分はここに用はない」と考えた20代女性は――。なぜ、そんな行動を取ったのか?>

多くの人が「推し」と聞いて思い浮かべるのは、ホストやメンズ地下アイドルなどにハマる行為ではないだろうか。私自身、そういう対象に多額のお金を投じることが「推し活」なのだろうと漠然と考えていた。
『「推し」という病』
それはあながち間違った解釈ではないだろう。しかし、長年にわたってエンタメ産業の現場を取材してきた『「推し」という病』(加山竜司・著、文春新書)の著者によれば、「推し活」の領域はそれにとどまらないようだ。

事実、本書に登場する「推し」にハマった人々は多種多様だ。多額の金銭を投じるために風俗の世界に身を投じる女性など、こちらのステレオタイプなイメージの範囲内に収まる人ばかりではない。

脳梗塞で入院中の病院を抜け出して地下アイドルのライブに足を運ぶ53歳男性とか、ハロプロの女性アイドルを14年間も推し続けて婚期を逃した46歳の女性といった具合に、こちらの貧困な想像力を大きく飛び越えてしまうような人々も少なくないのだ。

もちろん、何を推すかは好みの問題なのだから、個々人の嗜好に口を挟むことはできない。究極的には、好きなものを好きなように推せばいいのだから。

ただし、「推し」の後を追って自殺未遂するとなると、いくぶん話が違ってくるように思える。

それは、男性が苦手で恋愛にも興味が持てず、中学時代にボカロP(歌声合成ソフトVOCALOIDを使って楽曲制作するプロデューサーの略称)にハマったという20代中盤の女性【サナ】(本書の登場人物はすべて【 】でくくられているため、ここでもその表記に準ずる)だ。

メンバーシップ無料
ニューズウィーク日本版メンバーシップ登録
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

イーライリリー、中国に10年で30億ドル投資へ 肥

ビジネス

米CPI、2月前年比+2.4%上昇で前月と変わらず

ワールド

ホルムズ海峡付近で3隻に飛翔体、タイ船の火災で3人

ビジネス

IEA、最大規模の石油備蓄放出勧告へ 計4億バレル
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開された皇太子夫妻の写真が話題に
  • 4
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 5
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 6
    40年以上ぶり...イスラエル戦闘機「F-35I」が、イラ…
  • 7
    「一日中見てられる...」元プロゴルファー女性の「目…
  • 8
    人間ダンサーを連れて「圧巻のパフォーマンス」...こ…
  • 9
    イランがドバイ国際空港にドローン攻撃...爆発の瞬間…
  • 10
    ホルムズ海峡封鎖、石油危機より怖い「肥料ショック」
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで続くのか
  • 4
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 5
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 6
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 7
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 8
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 9
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 10
    日本の保護者は自分と同じ「大卒」の教員に敬意を示…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 5
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 6
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中