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世界一有名な日本の歌手となった初音ミク...世界の音楽を変えた原動力、「プロシューマー」とは

HIROYUKI ITOH

2025年6月27日(金)14時15分
長岡義博・本誌編集長

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初音ミクのパッケージ COURTESY OF CRYPTON FUTURE MEDIA

──サンプリング音源の海外との取引から始まるクリプトン社を創業した1995年は、インターネットの普及が始まったばかりでメールも一般的ではありませんでした。

創業前は大学職員でした。仕事で英語を学ぶ必要があり、コンピューターを使って音楽を作るDTM(デスクトップミュージック)が趣味だったので、「Keyboard」というアメリカの音楽雑誌を定期購読していました。その雑誌に、50ドル程度で3行広告が出せるコーナーがあり、それを活用して自分が作った音の素材を売り始めた。ビジネスというよりは、自分の作った音を広く使ってもらうためでした。連絡はファクス中心。88年頃のことです。


その頃、大学で導入が始まったインターネットを触らせてもらう機会がありました。すると、僕がファクスと音源の入ったフロッピーディスクとエアメールでやっている連絡が、ダウンロードですぐ完結するし、世界中と情報共有できる。これはすごいぞ、と。で、会社を作ることにしたわけです。

──アメリカの未来学者アルビン・トフラーが説く「第三の波」を扱ったNHKの番組を高校生の時に見て、「情報革命」が来ることを強く意識した、と以前のインタビューで答えられていました。

番組の中で、トフラーは「プロシューマー(生産に関わる消費者)」についても語っていて、それがずっと心に引っかかっていました。僕は田舎(編集部注:北海道標茶町)で生まれ育った人間で、都会には当たり前にあるものが何もない。標茶は人間より牛が多い(笑)。情報へのアクセスが遠かったことで、「情報革命」に共感したのだと思います。

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