失墜テスラにダブルパンチ...販売不振に続く「保険料高騰問題」の深層

Tesla Insurance Costs Could Surge Amid Anti-Elon Musk Vandalism

2025年3月17日(月)14時10分
ジュリア・カルボナーロ

テスラの保険料は今後さらに上昇するのか?

ブラノン氏によると、盗難や破壊行為(ヴァンダリズム)は、保険会社が保険料を決定する際に考慮する重要な要素だという。

「テスラ車を狙った破壊行為が増加し、収束しなければ、今後包括保険(コンプリヘンシブ・カバレッジ)の料率が上がる可能性がある」と彼は警告した。

マーティン氏は、車両保険の包括補償部分では破壊行為もカバーされるが、事故による損害と比べると保険料への影響は小さいと説明する。しかし、影響はゼロではないという。

「2023年にTikTokで流行した、特定のKiaやHyundaiモデルを狙った盗難トレンドから学んだように、この種の損害が続けば、保険会社はテスラ車の保険提供を拒否する可能性もある」とマーティン氏は警鐘を鳴らした。

2022年、KiaやHyundaiの一部モデルでは、エンジンを始動させる際に必要なイモビライザー(盗難防止装置)が搭載されていなかったことから、TikTokやInstagramで「盗みやすい車」として話題になった。

この装置は、本来であればキーを挿入すると信号を送る仕組みで、適切な信号がない場合はエンジンをロックし、車両を始動できないようにする。しかし、この機能がないことを悪用し、未経験の若者でも簡単に車を盗めるようになり、SNS上で「Kiaチャレンジ」として広まっていった。

その結果、2023年にはKiaやHyundaiの盗難件数が全米で急増。これを受け、保険会社は盗難リスクの高い州でこれらの車の保険提供を拒否する事態に発展した。米国大手のState FarmやProgressiveは、2015年から2021年に製造されたKiaやHyundaiの特定モデルについて、州ごとに補償範囲を縮小したり、新規契約を停止したりする措置を取った。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ロシアがウクライナを大規模攻撃、3人死亡 各地で停

ワールド

中国、米国に核軍縮の責任果たすよう要求 米国防総省

ビジネス

三井住友トラスト、次期社長に大山氏 海外での資産運

ビジネス

台湾の11月輸出受注、39.5%増 21年4月以来
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 2
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 3
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者・野村泰紀に聞いた「ファンダメンタルなもの」への情熱
  • 4
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 5
    【外国人材戦略】入国者の3分の2に帰国してもらい、…
  • 6
    週に一度のブリッジで腰痛を回避できる...椎間板を蘇…
  • 7
    「信じられない...」何年間もネグレクトされ、「異様…
  • 8
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 9
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 10
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 9
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 10
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中