最新記事
再生エネルギー

洋上風力発電業界に大逆風...トランプ政策を受けて、計画変更相次ぐ

2025年2月18日(火)18時00分
風力発電所のタービンとクレーン

大西洋海域で風力発電所のタービンを支えるために設置された構造物にかかるクレーン REUTERS/Brian Snyder/File Photo

米国の洋上風力発電に関連したインフラと供給網に対する投資を予定していた企業各社が、計画を撤回しつつある。トランプ米大統領が連邦政府による支援を廃止する姿勢を示していることを含め、プロジェクトが強い逆風にさらされているからだ。

米国の洋上風力発電産業はこの2年、急激な減速に陥っている。多くのプロジェクトで長期にわたる遅れやコスト増大が生じ、計画中止に至った例さえある。期待されていた数千人の雇用や数十億ドルの投資に影響が及びかねない状況だ。


洋上風力発電の業界団体オーシャンティックでマーケテイング・広報担当シニアバイスプレジデントを務めるステファニー・フランクール氏は、「プロジェクトがまったく頓挫してしまえば、影響は特定の州にとどまらず、全国的なサプライチェーンに波及する」と語った。

2022年には、市場調査会社4Cオフショアが、米国市場ではバイデン前大統領が掲げた「2030年の時点で30ギガワットの洋上風力発電所を建設」という目標を上回るとの予測を発表していた。だが同社は昨年予想を修正し、30年時点での導入規模は25ギガワットに届かないとしている。

ニュージャージー州の本格的な洋上風力発電用港湾は、米国東海岸における風力発電産業の拡張に向けた最初の拠点になるという触れ込みだったが、用途が変更されることになった。洋上風力発電を支援する新規造船に向けた数十億ドルの契約は立ち消えとなり、メーカーも計画を撤回している。公式発表の他、企業幹部や業界団体関係者、州政府当局者10人に対するロイターの取材で明らかになった。

洋上風力発電はかつてクリーンエネルギー分野における有望な成長分野と考えられていた。だがコスト急騰による打撃に加え、最近ではトランプ政権が、連邦政府管理地の貸与や許認可、補助金などの形による支援策を打ち切るとの展望が追い討ちとなっている。

トランプ氏は1月、洋上風力発電事業向けの連邦政府管理地の貸与を停止する大統領令に署名し、風力発電用タービンについて、「景観を害し、高コストであり、野生生物にとって有害だ」と評した。

ビジネス
「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野紗季子が明かす「愛されるブランド」の作り方
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

金総書記、プーチン氏に新年メッセージ 朝ロ同盟を称

ワールド

タイとカンボジアが停戦で合意、72時間 紛争再燃に

ワールド

アングル:求人詐欺で戦場へ、ロシアの戦争に駆り出さ

ワールド

ロシアがキーウを大規模攻撃=ウクライナ当局
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 6
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 7
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 8
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌…
  • 9
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 10
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 7
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中