最新記事
AI

中国「ディープシーク」創業者・梁文鋒氏が目指すのは「中国の技術革新」...「チャレンジ精神が原動力」

2025年1月29日(水)14時13分
中国の旗とディープシークのロゴ

1月28日、世界の株式市場や人工知能(AI)関連業界に衝撃をもたらした中国の新興企業ディープシーク(深度求索)。創業者の梁文鋒氏(39)は中国ハイテク産業の顔として、また米国による厳しい輸出規制を乗り越える希望として、彗星のように表舞台へ登場した。写真は中国の旗とディープシークのロゴ。同日撮影(2025年 ロイター/Dado Ruvic)

世界の株式市場や人工知能(AI)関連業界に衝撃をもたらした中国の新興企業ディープシーク(深度求索)。創業者の梁文鋒氏(39)は中国ハイテク産業の顔として、また米国による厳しい輸出規制を乗り越える希望として、彗星のように表舞台へ登場した。

今月20日に李強首相が開催した非公開のシンポジウムで意見を求められた出席者9人の1人として紹介されるまで、梁氏の存在はほとんど知られていなかった。2023年と昨年に中国メディア「Waves」のインタビューを受けた以外では、ほとんど公の場に姿を現してこなかったためだ。


 

中国中央テレビで放映されたシンポジウムの映像や動画を見ると、ミレニアル世代の梁氏の若さは居並ぶ白髪の学者や当局者、国営企業トップらと好対照をなしている。しかし、首相が政府の方針に関して意見を求めようと梁氏を招待したという事実は、ディープシークこそが世界のAI開発を巡る構図を中国有利な方向に一変させる役割を果たす潜在力を持っていると当局が認識していることを浮き彫りにした。

インターネット検索大手、百度の李彦宏最高経営責任者(CEO)は昨年、同じく首相肝いりのシンポジウムで意見を述べていた。23年3月に中国勢で初めて米オープンAIが開発した対話型AI「チャットGPT」の対抗製品を発表した李CEOはこの年のインタビューで、中国は米マイクロソフトが支援するオープンAIの成功を決して再現できず、中国企業は既存AIモデルの商用化に注力すべきだとの見方を示していた。

一方、梁氏が率いるディープシークは意図的にアプリ開発を避け、オープンAIと同等またはより高性能のモデル創出に向けて優秀な研究者と資源を集中。今後も消費者や企業用のAI製品を企業が構築する際に使う最先端のモデル開発を重視したい考えだ。

この手法は、スマートフォン用アプリから電気自動車(EV)まで外国由来の革新的技術を活用し、本家よりもずっと素早く量産化にこぎ着けるのを得意としてきた中国のハイテク産業において異色と言える。

梁氏は昨年7月のWavesのインタビューで「中国のAIが永遠に追随者の立場に甘んじることは許されない。中国製AIと米国の差は1-2年だとわれわれはしばしば口にするが、実際のギャップはオリジナルと模倣の間にある」と語った。

ヘルスケア
腸内環境の解析技術「PMAS」で、「健康寿命の延伸」につなげる...日韓タッグで健康づくりに革命を
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ウクライナ、東部要衝都市を9割掌握と発表 ロシアは

ビジネス

ウォラーFRB理事「中銀独立性を絶対に守る」、大統

ワールド

米財務省、「サハリン2」の原油販売許可延長 来年6

ワールド

中国、「ベネズエラへの一方的圧力に反対」 外相が電
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    【銘柄】「日の丸造船」復権へ...国策で関連銘柄が軒…
  • 8
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 9
    9歳の娘が「一晩で別人に」...母娘が送った「地獄の…
  • 10
    【人手不足の真相】データが示す「女性・高齢者の労…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中