最新記事
BOOKS

【読解力を高める】オーディオブックの意外な効用...出版翻訳家が「聴く読書」を勧める理由

2024年11月5日(火)16時50分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

音声は文字より情報量が多い

アメリカはAudible の市場が大きく、私が訳す本のほとんどはAudible 版も出ています。アメリカのAudible は著者本人が読むこともよくあります。自伝が出ているパリス・ヒルトンも、ミシェル・オバマも自分で読んでいます。

Audible で聴くと感情の起伏がよくわかります。以前、寝ながら原書のAudible を聴いていて、飛び起きたことがありました。「いま、笑ってた!」「そうか、笑うシーンなんだ」と、声の抑揚でわかったのです。

あわてて訳文と原文のファイルを立ち上げて、その箇所を確認しました。最初はなんとなく聴くようになった Audible ですが、そんな経験を経て、本格的に使うようになっていきました。武器がひとつ増えたような気分です。

音声は文字よりも情報量が多いと私は感じています。しっかり訳しているつもりでも、文字だけだと行間や感情が深く読み取れていないことがあります。

日本語の文章でも同じですよね。著者がここで笑ったのは、嬉しいからなのか、皮肉なのか、曖昧でよくわからないといったことはよくあります。読解力をいくら駆使しても、わからないからこそ読書はおもしろいのですが、訳すときには悩ましい問題です。

日々の訓練で英語を聴く速度が上がる

音声で聴くことで、そうしたうっかりを防ぐことができます。英米圏の本は分厚いことが多いので、Audible も18時間あったりします。そのまま流していたのでは間に合わないから倍速で聴いています。

最近は倍速で聴く技も磨きがかかってきて、2・5倍速くらいまでは聴けるようになりました。本1冊でも2、3日でチェックが完了します。人に言うと驚かれます。でも、ちゃんと耳に流れてくるのです。

人間は繰り返し努力をすれば、できるようになる。繰り返すことによって誰もがエキスパートになれる。これはとても希望のあることです。

◇ ◇ ◇

「訳して、書いて、楽しんで」POP

「訳して、書いて、楽しんで」POP


村井理子(むらい・りこ)

翻訳家/エッセイスト 1970年静岡県生まれ。滋賀県在住。ブッシュ大統領の追っかけブログが評判を呼び、翻訳家になる。現在はエッセイストとしても活躍。

著書に『兄の終い』 『全員悪人』 『いらねえけどありがとう』(CCCメディアハウス)、『家族』『はやく一人になりたい!』(亜紀書房)、『義父母の介護』『村井さんちの生活』(新潮社)、『ある翻訳家の取り憑かれた日常』(大和書房)、『実母と義母』(集英社)、『ブッシュ妄言録』(二見文庫)、他。訳書に『ゼロからトースターを作ってみた結果』『「ダメ女」たちの人生を変えた奇跡の料理教室』(新潮文庫)、『黄金州の殺人鬼』『ラストコールの殺人鬼』(亜紀書房)、『エデュケーション』(早川書房)、『射精責任』(太田出版)、『未解決殺人クラブ』(大和書房)他。

訳して、書いて、楽しんで

『エブリシング・ワークス・アウト 訳して、書いて、楽しんで』
 村井理子[著]
 CCCメディアハウス[刊]

(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)

ニューズウィーク日本版 イラン革命防衛隊
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年3月24号(3月17日発売)は「イラン革命防衛隊」特集。イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


メンバーシップ無料
ニューズウィーク日本版メンバーシップ登録
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

三菱電機、三菱電機モビリティの持ち分の一部譲渡の可

ビジネス

イラクを格下げ方向の「クレジット・ウォッチ」に、石

ワールド

混乱なきイラン政権交代は非現実的、軍事解決あり得ず

ビジネス

貿易収支、2月は573億円の黒字 対米輸出は3カ月
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    住宅建設予定地に眠っていた「大量の埋蔵金」...現在の価値でどれくらい? 誰が何のために埋めた?
  • 3
    「ネタニヤフの指が6本」はなぜ死亡説につながったのか?
  • 4
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 5
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 6
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 7
    「危険な距離まで...」豪ヘリに中国海軍ヘリが異常接…
  • 8
    ガソリン価格はどこまで上がるのか? 専門家が語る…
  • 9
    「目のやり場に困る...」グウィネス・パルトロウの「…
  • 10
    戦争反対から一変...湾岸諸国が望む「イランの脅威」…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 3
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製をモデルにした米国製ドローンを投入
  • 4
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 5
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 6
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 7
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 8
    住宅建設予定地に眠っていた「大量の埋蔵金」...現在…
  • 9
    ショーン・ペンは黙らない――「ウクライナへの裏切り…
  • 10
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中