最新記事
ビジネス

「銀行らしさ」からどう脱却するか...堅い銀行でイノベーションを実現させた「みんなの銀行」に学ぶ

2023年6月6日(火)18時09分
flier編集部
みんなの銀行の永吉健一取締役頭取

「みんなの銀行」永吉健一取締役頭取(flier提供)

<長い歴史を持つ大企業ならではの「イノベーションのジレンマ」を、みんなの銀行はどう克服したのか。永吉健一頭取インタビュー>

大手地方銀行ふくおかフィナンシャルグループから生まれた、日本初のデジタルバンク「みんなの銀行」。ビジネスの進め方、ブランディング、組織づくりなどの5つの分野をベースに、同行のイノベーションの軌跡を克明に描いたのが、『イノベーションのジレンマからの脱出 日本初のデジタルバンク「みんなの銀行」誕生の軌跡に学ぶ』(日経BP)です。

大企業の論理のなかで、「イノベーションのジレンマ」をどう乗り越えてきたのでしょうか? みんなの銀行の取締役頭取を務める永吉健一さんにお聞きします。
※この記事は、本の要約サービス「flier(フライヤー)」からの転載です。

◇ ◇ ◇


日本初のデジタルバンクをゼロベースで構築した軌跡

──永吉さんは『イノベーションのジレンマからの脱出』に、どんなメッセージをこめたのでしょうか。

日本の成熟企業の経営者たちは、新しい事業をおこさなくてはと危機感をもっているものの、なかなか形にならないもどかしさを抱いているように思います。一方、新規事業の担当者も、「新しいことをやれといわれたのに、自由にやらせてもらえない」というフラストレーションを抱えている。特に銀行業界は古い歴史と堅い組織カルチャーがあり、まさに経営学者クレイトン・クリステンセンの名著『イノベーションのジレンマ』に書かれているような壁に幾度となくぶつかってきました。

こうした壁をどのように乗り越えて、日本初のデジタルバンクをゼロベースで構築してきたのか。本書を通じて、この試行錯誤をプロセスエコノミー的に公開することで、同じようにイノベーションのジレンマに苦悩するビジネスパーソンたちを勇気づけられるのではと思いました。そこで、本来なら外に公開しないような役員との喧々諤々の議論も公開しています。

イノベーションのジレンマからの脱出
 著者:株式会社みんなの銀行書籍プロジェクトチーム:
 永吉健一、中原淳一、吉冨史朗、市原幸子
 出版社:日経BP
 要約を読む
(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)

──みんなの銀行のようなデジタルバンクが金融業界に与えるインパクトはどのようなものですか。

日本の銀行はDXのキーワードのもと、デジタル化による変革を進めています。ですが、従来の銀行ビジネスが、ヒトや紙の帳票、判子を前提とした業務プロセスやそれらを記帳・処理するシステムをベースにしているため、なかなか進まない。この課題を解決するために、みんなの銀行は全く異なるアプローチをとりました。デジタルネイティブ世代がどのような銀行取引をしたいかという視点に立ち、商品・サービスの企画から業務プロセスの設計、それらを動かすシステムまでをゼロベースで構築していきました。

日本
【イベント】国税庁が浅草で「伝統的酒造り」ユネスコ無形文化遺産登録1周年記念イベントを開催。インバウンド客も魅了し、試飲体験も盛況!
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ミャンマーで総選挙投票開始、国軍系政党の勝利濃厚 

ワールド

米、中国の米企業制裁「強く反対」、台湾への圧力停止

ワールド

中国外相、タイ・カンボジア外相と会談へ 停戦合意を

ワールド

アングル:中国企業、希少木材や高級茶をトークン化 
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 3
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌や電池の検査、石油探索、セキュリティゲートなど応用範囲は広大
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 6
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 7
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 8
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 9
    【クイズ】世界で最も1人当たりの「ワイン消費量」が…
  • 10
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中