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SDGs

あなたの買い物のCO2排出量を可視化する

MAKING CARBON EMISSIONS VISIBLE

2023年3月22日(水)10時40分
岩井光子(ライター)
二酸化炭素

Galeanu Mihai-iStock

<消費にともなう二酸化炭素量をモバイル決済時に可視化し、責任ある消費行動をうながすアプリが今年に入ってアメリカで劇的に注目されている。そしてその風が日本にも...>

金融と技術を掛け合わせたフィンテックという言葉をよく聞くようになった。スマートフォン1つでいろいろな金融手続きが可能になり、それまで銀行口座を持てなかったアフリカの貧困層が一気に送金サービスを利用できるようになるなど、SDGsの観点からも目覚ましい変革が起きている。

モバイル決済と同時に、消費に伴う二酸化炭素(CO2)量を可視化するサービスを提供しているのがスウェーデン発のフィンテック企業、ドコノミーだ。

設立は2018年。飽和状態にあったカード業界において、CO2排出量に換算して利用限度額を設けたクレジットカード「DO Black」を開発し、世界にインパクトを与えた。

日本でドコノミーを知っている人はおそらくこのカードを思い起こすことが多いだろうが、今ではその仕組みである「オーランド指数」を応用したアプリ開発にビジネスの軸を移している。

オーランド指数は、ドコノミーがフィンランドのオーランド銀行と連携して測定する環境負荷数値で、国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)のデータを参考にしている。例えばコンビニで500円買い物をしたら、コンビニで500円使う際の平均的なCO2排出量が弾き出され、デバイスのインターフェイス上に表示される。

ドコノミーによれば、オーランド指数の特長はデータの「信頼性」だ。一つはロンドン拠点の大手会計事務所、アーンスト・アンド・ヤング(EY)のシステム監査を受けており、この種のデータとしては初の第三者認証を取得していること。

もう一つは米金融情報大手S&Pグローバルの専門調査会社トゥルーコストが保有する、約2万社の膨大な環境負荷情報を基に数値を提供していることだ。

現在、ドコノミーのアプリは35の国・地域の約8億5000万人がダウンロードしているという。顧客には、収益の1%を環境保護団体に寄付する当座預金口座を始めたアメリカのバンク・オブ・ザ・ウエストなどがいる。

日本でも昨年6月、クレディセゾンが決済データとCO2排出量を連動させた国内初のデジタルクレジットカード「ビコーズ」を発行。ドコノミーと契約した初の日本企業となった。

投資

不動産オーナー調査で見えた、開始すべき時期、他の投資にない「特権」、駅遠物件の価値

2023年3月22日(水)17時50分
毛利英昭(株式会社リンクス 代表取締役)
日本のマンション(イメージ画像)

K2_keyleter-iStock

<投資を実施している不動産オーナー160名へのアンケート調査の結果で分かった不動産投資の実態と、始めるにあたって心掛けるべきこととは?>

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シリコンバレーバンク経営破綻は金融危機につながるか

2023年3月22日(水)16時02分

3月10日に米国のシリコンバレーバンク(SVB)の経営破綻が伝わり、米欧の金融市場の景色は大きく変わった...... REUTERS/Dado Ruvic/

<米国の株式市場では、預金流出に弱い中堅銀行が、シリコンバレーバンク(SVB)と同様に破綻する懸念がくすぶっている。最近の米欧の銀行不安と当局の対応について考えたい。>

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SDGs

ミツバチを感染症から守れ!新型ワクチン開発、米バイオ企業の挑戦

VACCINATING HONEYBEES

2023年3月22日(水)10時50分
ジェニー・デュラント(カリフォルニア大学デービス校客員研究員)
ミツバチ

ワクチン入りのクイーン・キャンディーを食べる働き蜂 COURTESY DALAN ANIMAL HEALTH

<作物の受粉に欠かせない重要な花粉媒介者を救う切り札に?>

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SDGs

「地球が株主」──利益を100%未来に投資する、パタゴニアが示す企業の新しい責任とは?

PATAGONIA FOR THE PLANET

2023年3月20日(月)12時55分
グラム・オールド(カールトン大学教授)、ヤニナ・グラブス(ESADEビジネススクール助教)
「パタゴニア」, 創業者イボン・シュイナード

環境意識の高いアウトドア愛好者に人気のブランド「パタゴニア」は、創業者イボン・シュイナードの決断により、その利益の100%が環境NGOによって使われることになった COURTESY PATAGONIAーZUMA PRESS/AFLO

<財団が営利企業を経営することは珍しくないが、超富裕層による「慈善資本主義」の危険性もある。このジレンマにパタゴニアはどう挑戦するのか>

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SDGs

インクルージョンを経営戦略に── 多様性に関するP&Gの取り組み

AT THE CORE IS INCLUSION

2023年3月17日(金)14時30分
岩井光子(ライター)
ベセラ前社長

ベセラ前社長(写真)はE&Iを経営戦略の中核に位置付けた COURTESY P&G

<人材の多様性に関し先進的な取り組みを進めるP&G、その姿勢は多様な消費者ニーズに応える力にもつながる>

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ニュース速報

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