最新記事

中国経済

中国独禁法当局、アリババの次はテンセントを標的に? ポニー・マーCEOに規制順守を要請

2021年3月24日(水)18時26分

中国のネットサービス大手テンセント・ホールディングスの創業者で最高経営責任者の馬化騰氏が今月、同国の独占禁止法当局と面会し、テンセントグループの法令順守について協議したことが、事情に詳しい関係者の話で明らかになった。2020年9月北京で撮影(2021年 ロイター/Tingshu Wang)

中国のネットサービス大手、騰訊控股(テンセント・ホールディングス)の創業者で最高経営責任者(CEO)の馬化騰(ポニー・マー)氏が今月、同国の独占禁止法当局と面会し、テンセントグループのコンプライアンス(法令順守)について協議したことが、事情に詳しい関係者の話で明らかになった。

当局はこのところ、国内企業の独占行為に対する締め付けを強化しており、昨年はアリババ・グループが対象になった。他のネット大手に対しても監督も強める可能性がある。

テンセントが運営する対話アプリ「微信(ウィーチャット)」やモバイル決済アプリは中国市場の占有率が高く、関係者によると、アリババに続き、当局から厳しい調査を受けるとみられる。

テンセントは24日に2020年10─12月期の決算を発表する。リフィニティブのアナリスト予想は42%増益となっているが、投資家は決算よりも規制関連の動きに注目するとみられる。

関係者によると、馬氏は全国人民代表大会(全人代、国会に相当)に出席するため、今月北京入りした。今から2週間前に独禁法を管轄する国家市場監督管理総局(SAMR)の事務所を訪ねたという。

馬氏はテンセントの本社がある広東省の代表として全人代に参加。SAMRの甘霖副局長を含む高官に面会を申し入れた。

テンセントとSAMRはロイターによるコメントの求めに応じていない。

関係者の1人は、テンセントとSAMRの会合では、テンセントが独禁法規制の順守体制をいかに改善できるかについて話し合われたと明らかにした。

別の関係者によると、会合に参加したSAMRの呉振国・独占禁止局長はテンセントの事業慣行の一部について懸念を表明し、独禁法規制を順守するよう求めたという。

両関係者は、SAMRは情報を収集し、ウィーチャットに関して、市場の優位性を悪用した慣行や、公正な競争を阻害し、規模が小さめの競争相手を押し潰した可能性について、調査していると説明した。

テンセントと当局の会合に関するロイターの報道を受けて、テンセント株は一時1.7%下落した。

テンセントの馬氏はメディアのインタビューに応じることもほとんどなく、ここ1年以上公の場に姿を見せないなど、アリババ創業者で親戚関係はない馬雲(ジャック・マー)氏とは対照的。アリババの馬氏は昨年当局を批判して以来、傘下の金融会社アント・グループの新規株式公開(IPO)が土壇場で延期を余儀なくされるなど、憂き目に遭った。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・アリババ攻撃はほんの序章......習政権の統制強化は危険な賭け
・ジャック・マーは中国当局に「消された」のか? 中国を逃れた不動産王の予言が話題に
・中国の金融監督当局を激怒させたジャック・マー アント上場延期は舌禍が招いた



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

利上げの可能性、物価上昇継続なら「非常に高い」=日

ワールド

アングル:ホームレス化の危機にAIが救いの手、米自

ワールド

アングル:印総選挙、LGBTQ活動家は失望 同性婚

ワールド

北朝鮮、黄海でミサイル発射実験=KCNA
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ公式」とは?...順番に当てはめるだけで論理的な文章に

  • 3

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 4

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32…

  • 5

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離…

  • 8

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    ネット時代の子供の間で広がっている「ポップコーン…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 9

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中