最新記事

テクノロジー

グーグルの「スマート・ジーンズ」は使えるか

布地に電気回路を縫い込みスマホ画面のように使えたら便利なのか?

2015年6月22日(月)16時37分
アリス・ハートデイビス

失敗作 グーグルのエリート開発チームが考えることは荒唐無稽 Thomas Peter-REUTERS

 動きが速いサイバー領域では、スマートフォンもスマートウオッチも既に過去のもの。だが、ジーンズがコンピューターになるとしたら、新しい。
 
 グーグルの「最新技術プロジェクト(ATAP)グループ」が先月末に発表したプロジェクトのなかでも、観衆の想像力を最も刺激したのが、プロジェクト・ジャカード。ジャカード布でできた服をコンピューターにつなごうというものだ。

 縦糸と横糸でできている布地は、面白いことに、タッチスクリーンに付いている電子回路と構造が似ている。一部の糸を回路に置き換えれば、理論上は、服がセンサーになり、スマホやタブレットと同じように、我々の指の動きをパターン認識できるようになる。他に必要なのは、シグナルを受け取りスマホに送る、ボタン大の小さなデバイス。

 グーグルATAPのテクニカルプログラムの責任者イワン・ピプレフは、プロジェクト・ジャカードは「身の回りの基礎的な材料を交信可能にすることだ」と説明する。

 ATAPのプロジェクトはいつも成功するわけではない。同じウエアラブルでもグーグル・グラスは失敗作だ。だが。ジャカード計画の面白いところは、本当に将来性がありそうなこと。ファッション評論家たちも同意見だ。

「大きなイエスよ」と、ファッショントレンド予測会社WGSNのシニアエディター、ソフィー・ルーシー・ドウルフは言う。グーグル・ジャカードも、スイスの繊維会社フォースター・ローナーが作るスマート・ファブリックも、必ず市場で成功すると請け合う。

 電子回路が付いて洗濯もできるe-ファブリック技術はまだ生まれたばかりだが、既に繊維産業を作り変えはじめている。デザイナーたちが、大きな可能性を秘めたこの新しい素材を見い出し、実験を始めているからだ。

 伝導性の糸は、実はそれほど新しくない。ラルフ・ローレンは昨年、「ポロ・テック」シャツを発売した。ストレッチがきいたぴったりしたシャツで、心拍数や呼吸数などの生体データを測ることがき、データをiPhoneに送ることもできる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英総合PMI、12月速報は52.1に上昇 予算案で

ビジネス

独ZEW景気期待指数、12月は45.8に上昇 予想

ワールド

ウクライナ提案のクリスマス停戦、和平合意成立次第=

ビジネス

EUの炭素国境調整措置、自動車部品や冷蔵庫などに拡
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連疾患に挑む新アプローチ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 8
    アダルトコンテンツ制作の疑い...英女性がインドネシ…
  • 9
    FRBパウエル議長が格差拡大に警鐘..米国で鮮明になる…
  • 10
    「なぜ便器に?」62歳の女性が真夜中のトイレで見つ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 8
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 9
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中