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旅客機、どんどん狭くなる足元スペースの暴利

2014年8月27日(水)16時17分
アリソン・グリズウォルド

 飛行機の座席の幅やスペースの縮小は、見えない「インフレ」とも言えるだろう。例え運賃が値上がりしなくても、同じ値段で飛行中の快適さが低下すれば、運賃は実質的に値上がりしたことになる。

 もちろん座席のリクライニングは、問題をさらに悪化させている。後ろの乗客に残された最後の数センチの足元のスペースを、リクライニングが奪ってしまう。「ニー・ディフェンダー」はこれを阻止する1つの試みだ。

 前の席の乗客に、礼儀を尽くして席を戻すように頼むことはできる。しかし大概の場合、こうした申し出は受け入れられない。もっと根本的な解決策として、航空会社に対してリクライニングシートの導入を完全に禁止することは考えられる。

 機内持ち込みの荷物に課金することなどから利用者の評判が最悪の格安航空会社「スピリット航空」は、この方法を導入している。ジェットブルーやユナイテッドといった他の航空会社よりも多くの乗客を機内に詰め込んでおり、座席のシートを倒すことはできない。

 航空会社からすれば、乗客の足元のスペースを奪って機内にすし詰めにすることは、収益上大きな効果がある。しかし遅かれ早かれ、誰かがキレていただろう。今週ユナイテッドの機内で起きた騒動は、まさにそれだ。そして喧嘩になった2人が座っていたのが、通常のエコノミーより約10センチ足元のスペースが広い「エコノミープラス」だったのは、まったく皮肉な話だ。

© 2014, Slate

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