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カーターに似てきたオバマの蟻地獄

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2010.10.13

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カーターに似てきたオバマの蟻地獄

中間選挙を前にオバマの立場は78年のカーターに似てきた。成果を急いで妥協を重ねるからリベラル派が離反している

2010年10月13日(水)12時02分
ジュリアン・ゼリザー(プリンストン大学歴史学教授)

 バラク・オバマ米大統領は、歴代大統領の中でフランクリン・ルーズベルトとリンドン・ジョンソンを尊敬している。大型法案を通す力があったからだ。ロナルド・レーガンを尊敬するのは、彼が変化を起こせる指導者だったから。ビル・クリントンを頼りにするのは、その政治ゲームの手腕を買ってのこと。だが中間選挙を控えた今のオバマは、何だか78年のジミー・カーターに似てきた。

 オバマは大統領になってからの20カ月で、景気刺激策や医療保険制度改革、金融規制改革といった重要法案を通したと自負している。しかしカーター同様、与党・民主党のトップとしては苦しい状況に置かれている。景気低迷に加えて、オバマが真っ先に取り組んできた政策は裏目に出て、党を08年の大統領選挙当時よりも苦しい立場に追い込んでいる。少なくとも民主党候補の一部は、オバマの存在を逆風と感じ始めている。

 実を言えば、中間選挙で惨敗したカーター政権も、最初の2年では大きな成果を挙げていた。就任から100日後の支持率は68%だったし、当時のワシントン・ポスト紙によれば「民主党ばかりか、共和党系や無党派層もカーターを支持して」いたそうだ。

 78年、カーターはこの勢いに乗じて、上院に新たなパナマ運河条約の批准を求めた。アメリカが中南米で信用を回復するためには、条約の批准が不可欠だと信じていたからだ。そして実際、上院は一度の投票でこれを批准。カーターにとっては大きな勝利だった。

 国内政策では、カーターはエネルギー改革法案を通した(内容的には妥協を重ね、党を二分する結果になったが)。政府倫理法案も成立し、独立検察官の制度ができた。航空業界の規制緩和も行った。だが、こうした実績が景気後退にあえぐ中産階級や労働者の心に届くことはなかった。

成果を実感しにくい政策

 オバマ政権も、当初の高い支持率を背景に困難な課題に取り組んできた。景気の回復が思わしくなくても、医療保険制度改革法案の成立にこだわった。しかし、この改革のせいで多くの国民が保険料の支払いを求められることになり、特段の理由なく保険に加入しなければ罰金が科せられる。一方、その恩恵は14年まで顕在化しない。世論調査では、半数以上の国民がこの改革を支持していない。

 金融規制の強化でウォール街の投機的な取引は減るだろうが、それで国民がすぐに潤うわけではない。前政権の末期から多額の税金をつぎ込んで企業を「救済」してきた記憶は新しいし、業界のロビー活動で規制が骨抜きになる可能性を考えれば、一般の有権者が実効性を疑うのも無理はない。

 オバマはまた、法案成立を急いで共和党と妥協を重ねたせいで、党内左派勢力との関係も悪化させている。78年のカーターも、当時の民主党リベラル派の旗手だったエドワード・ケネディ上院議員と険悪な関係にあった。

 今のオバマは、共和党ブッシュ政権の打ち出した政策の多くを踏襲している。アフガニスタンでの戦闘に至っては、ブッシュ時代よりも拡大している。医療保険の改革でも法案の成立を優先して、リベラル派の求める公的医療保険の導入を見送った。

 それでも今のオバマは、78年の中間選挙を控えた時期のカーターよりは恵まれた位置につけている。オバマが内政面で挙げた得点は、カーターのそれよりもずっと高い。党内有力者との個人的な関係も、カーターのときよりはずっと良好だ。そして何より、共和党にはまだ「第2のロナルド・レーガン」が現れていない。

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