コラム

金正恩にビンタを張られた習近平

2016年02月12日(金)10時10分

 このビンタはいったい誰の顔に向かって放たれたのだろうか。

 北朝鮮が今月2日に「8日から25日の間に『光明星号』を発射する」と発表した後、米高官は北朝鮮が弾道ミサイル技術を利用して発射することは国連安保理、中国そして国際社会の軽視であり、北朝鮮への追加制裁に反対する国へのビンタだ、と発言した。3日、中国外交部のスポークスマンはアメリカに対してこう反論した。「6カ国協議が中断し、一部国家が圧力と制裁を叫ぶ中、北朝鮮は核実験を始め、その後も実験を重ねてきた。その意味では、北朝鮮は確かにある国家に対してビンタを放ったと言える。それが誰の顔に向けられたものだったのかは、ビンタを受けた者だけが知っている」

 北朝鮮は7日、人工衛星「光明星4号」を発射した。この人工衛星を載せたミサイルの射程は約1万3000キロで、理論上ではアメリカ大陸のどんな場所にも到達できる。しかし、一方で今回発射された軌道は中国沿岸部に沿っていた。さらにこの日は中国にとって旧暦の大みそかというとても重要な日でもあった。家族全員が集まっていっしょに大みそかの夕食を食べる祭日を、北朝鮮はよりによって発射日に選んだ。これは春節の「お年玉」と言えるのだろうか。

 昨年12月、金正恩は北朝鮮がすでに水爆を保有した、と宣言。今年1月に4度目の核実験を実施した。今回の核実験はアメリカからはるか遠い場所で行われたが、中国国境からはわずか100キロだ。東北地方の一部の学校のビルは震動で揺れ、授業は休講になった。もしこの核実験も金正恩がアメリカに放ったビンタだったのなら、なぜ中国人が被害者になるのだろう。

 金正恩のビンタは誰の顔に放たれたのか、中国外交部のスポークスマンは知らないのかもしれない。ただ、私や全世界の多くの中国人ははっきりと見た。習近平の顔に金にビンタされた跡がくっきり残っているのを......。

<次ページに中国語原文>

プロフィール

辣椒(ラージャオ、王立銘)

風刺マンガ家。1973年、下放政策で上海から新疆ウイグル自治区に送られた両親の下に生まれた。文革終了後に上海に戻り、進学してデザインを学ぶ。09年からネットで辛辣な風刺マンガを発表して大人気に。14年8月、妻とともに商用で日本を訪れていたところ共産党機関紙系メディアの批判が始まり、身の危険を感じて帰国を断念。以後、日本で事実上の亡命生活を送った。17年5月にアメリカに移住。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:欧州で若者向け住宅購入の新ビジネス、価格

ワールド

焦点:道半ばの中国「社会保険改革」、企業にも個人に

ワールド

昨年の関税合意実施を米と確認、日本が不利にならない

ビジネス

米国株式市場=続落、ダウ453ドル安 原油高と雇用
今、あなたにオススメ
>
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国はイランを見捨てた? イランの「同盟国」だったはずの中国が、不気味なまでに静かな理由
  • 2
    日本の保護者は自分と同じ「大卒」の教員に敬意を示さない
  • 3
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗雲...専門家「イランの反撃はこれから」「報道と実態にズレ」
  • 4
    10歳少女がライオンに激しく襲われる...中国の動物園…
  • 5
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 6
    「みんな一斉に手を挙げて...」中国の航空会社のフラ…
  • 7
    「巨大な水柱に飲み込まれる...」米海軍がインド洋で…
  • 8
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 9
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 10
    【WBC】侍ジャパン、大谷翔平人気が引き起こした球場…
  • 1
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 2
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズった理由
  • 3
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 4
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 5
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 6
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 7
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 8
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 9
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 10
    「若い連中は私を知らない」...大ヒット映画音楽の作…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story