コラム

一足早く「原油離れ」していた株式市場...停戦で米国経済はリスクが減ったが、日本はどうか

2026年04月08日(水)17時40分

2025年にはトランプ関税の不確実性が高まる中で利上げを見送った

ただ、ホルムズ海峡封鎖による供給制約の下振れが解消されるかは不透明な状況で、日本経済の成長率の下振れ要因は明らかである。こうした中で、利上げを急ぐ合理的理由は乏しい。

日銀自身が認識しているように、基調的インフレ率は2%以下のままであり、実際に欧米版コアインフレ率(食料・エネルギー除く)は過去1年程度、2%を下回って推移している。経済が過熱してインフレが上振れる可能性は低く、2022年の欧米のような経済状況にはかなり遠い。

2025年12月の0.75%への利上げによって、既に「引き締め領域」に入っている可能性があり、利上げの引き締め効果を見定める必要がある。予想外の外的ショックによる景気下振れが加わる中で、利上げを急ぐことは、かつての日銀の失政と同様の政策ミスになりかねない。

植田総裁らは、日本の中立金利は2%程度と考えているとみられるが、それを実現するためには、慎重にゆっくりと利上げを続けることが必要だろう。そして、1990年代からデフレを長期間許容してきた中央銀行が、性急な利上げというリスクを取れば、経済成長を志向する政権との政策の整合性が問われる。

トランプ関税の不確実性が高まる中で利上げを見送った2025年同様に、4月会合では日銀は利上げを見送ると、筆者は期待を込めて予想している。

(本稿で示された内容や意見は筆者個人によるもので、所属する機関の見解を示すものではありません)


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プロフィール

村上尚己

アセットマネジメントOne シニアエコノミスト。東京大学経済学部卒業。シンクタンク、証券会社、資産運用会社で国内外の経済・金融市場の分析に20年以上従事。2003年からゴールドマン・サックス証券でエコノミストとして日本経済の予測全般を担当、2008年マネックス証券 チーフエコノミスト、2014年アライアンスバーンスタン マーケットストラテジスト。2019年4月から現職。『日本の正しい未来――世界一豊かになる条件』講談社α新書、など著書多数。最新刊は『円安の何が悪いのか?』フォレスト新書。

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