コラム

中国は景気刺激のアクセルを踏むのか踏まないのか

2016年03月08日(火)19時00分

デフレスパイラルを恐れる専門家も

 著名な経済学者のなかにも、中国社会科学院の余永定研究員のように、中国はいまデフレスパイラルに入りつつあるから財政出動による景気刺激を行うべきだとして、「サプライサイドの構造改革」路線を批判する者も現れました(財新網、2016年2月9日)。

 こうして、昨年末の段階ではおそらく「6.5%」であった2016年の成長率の目標が1~2月の間に「6.5~7.0%」に修正されたのだと思います。

 ただ、そもそも現在の過剰生産能力の問題は、リーマンショックへの対処のため財政出動を行い、投資を刺激し、投資飢餓症に火をつけてしまったことで生じているのですから、ここで同じことを繰り返せば問題がさらに大きくなることは必定です。やはり今年と来年ぐらいは成長率の低下を我慢する年と考えたほうがいいように思います。経済成長率が落ちたと言っても5~6%であれば、世界基準から言えばまだ十分に好景気なのですから。

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プロフィール

丸川知雄

1964年生まれ。1987年東京大学経済学部経済学科卒業。2001年までアジア経済研究所で研究員。この間、1991~93年には中国社会学院工業経済研究所客員研究員として中国に駐在。2001年東京大学社会科学研究所助教授、2007年から教授。『現代中国経済』『チャイニーズ・ドリーム: 大衆資本主義が世界を変える』『現代中国の産業』など著書多数

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