コラム

情けない軽犯罪とルール違反が標準化するイギリス

2017年06月07日(水)16時30分

僕と隣家の間には路地がある。ときどき、パブ帰りの男性がそこに小便をする。ゴミが投げ込まれることも多い。1年ほどの間、路地の奥にある家の一軒を借りている男が、毎日この路地に飼い犬を入らせて糞をさせていた。この件について僕は自治体に連絡したが、この路地は正式には自治体の管轄権が及ぶ「公共道路」ではないので、問題は複雑だということが判明した。

最終的に、この男は引っ越した。去るときに、古いマットレスやがらくたを路地に捨てていった。その中にはなんと、車のドアもあった。責任を負うはずの家主は、全てを放置したまま。ここで言っておきたいけれど、僕の住む地域は貧困にあえぐ都市のスラムや危険な地区ではない。イングランド中流層のかなり典型的な、豊かな町だ。

どれもニュースには値しないけれど......

今週は2度も、家の前の通りに犬の糞が捨てられていた。実のところ、街中の通りでこんなことはめったにないことだけど、でも確実に起こり得る。公園ならはるかに頻繁にあるし、町から外れた田舎道だったらもうそこら中に糞が落ちている。

犬を散歩させる道を「広々した田舎道」だとでも思っている人々は、ごく当たり前のように犬に道路で糞をさせる。だから、すばらしい野原や美しい木立の通りに足を踏み入れたときには、犬の糞を踏まないように目の前の地面をよく見て歩いたほうがいい。

飼い主は犬の糞で罰金を科せられる可能性があります、と警告する表示はいくつも貼られている。でも僕は、犬を連れた人が道で犬に糞をさせるところを何度も目撃したことがあるけれど、彼らは犬が糞をしていることに気付いているふりさえしなかった。こちらがじっと見ていると、文句があるかのようににらみ返されることもある。

(僕が見るところ、だいたい犬の飼い主の3人に1人は糞をちゃんと「片付けて」いる。こうした責任感のある飼い主は、犬の飼い主全般の評判をおとしめるような行為をする人々とは私は違います、とアピールする手段として、よく見えるように袋を携帯している。)

【参考記事】光熱費、電車賃、預金......ぼったくりイギリスの実態

僕の家の真裏には廃墟となった小さな修道院がある。なかなかいい雰囲気の場所で、僕はスーパーマーケットに行く時には、たいていそこを通り抜ける。

だがそこには春から夏の終わりにかけて毎日、酔っ払いが群れをなしてやってくる。彼らは上機嫌のときもあれば、仲間うちで喧嘩をするときもある。言い争う声は、家の中にいても聞こえてくるほどだ。彼らは部外者に迷惑をかけることもある。酔っ払いがスーパーから酒を万引きするところを、僕は今年だけで3度も見た(店員はたいてい、盗んだものを店に戻させるだけで警察には通報しない)。

数年前、この手の反社会的行為のせいで、修道院敷地内での飲酒を禁止する規則ができた。だが敷地の管理者ですら、それを守らせようとしなかった。昨晩、僕が通りかかったらたまたま番人が修道院の門を閉めるところだったが、彼は酔っ払いたちに礼儀正しく、そろそろ出る時間ですよと言っていた(ここは飲酒禁止ですとは言っていなかった)。

近くのキャッスルパークでは、若い男たちがマリファナを堂々と吸っていた(匂いではっきり分かる)。彼らはこっそりやらなければならないとすら思っていないように見える。

プロフィール

コリン・ジョイス

フリージャーナリスト。1970年、イギリス生まれ。92年に来日し、神戸と東京で暮らす。ニューズウィーク日本版記者、英デイリー・テレグラフ紙東京支局長を経て、フリーに。日本、ニューヨークでの滞在を経て2010年、16年ぶりに故郷イングランドに帰国。フリーランスのジャーナリストとしてイングランドのエセックスを拠点に活動する。ビールとサッカーをこよなく愛す。著書に『「ニッポン社会」入門――英国人記者の抱腹レポート』(NHK生活人新書)、『新「ニッポン社会」入門--英国人、日本で再び発見する』(三賢社)、『マインド・ザ・ギャップ! 日本とイギリスの〈すきま〉』(NHK出版新書)、『なぜオックスフォードが世界一の大学なのか』(三賢社)など。

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