マクロスコープ:トランプ氏来日、政府は関係構築に自信 防衛費・為替で市場警戒も
10月27日、米国のトランプ大統領の来日を前に、日本政府は高市早苗首相(写真)との親密な関係構築に自信を見せている。26日、クアラルンプールで代表撮影(2025年 ロイター)
Yoshifumi Takemoto Tamiyuki Kihara
[東京 27日 ロイター] - 米国のトランプ大統領の来日を前に、日本政府は高市早苗首相との親密な関係構築に自信を見せている。トランプ氏が高市氏を故・安倍晋三元首相の「後継者」と認識しているとの期待感があるからだ。実際、高市氏が首相指名を前に窮地に立たされた際、トランプ氏が水面下で助け舟を出そうとしたこともあった。ただ、首脳会談に向け市場の専門家からは、エネルギーや防衛費、為替政策などに絡む米国からの新たな要求を懸念する声もある。
<両首脳を近づける安倍元首相の「遺産」>
トランプ氏の来日は6年ぶりだ。高市氏にとっては首相就任1週間での会談となる。本来なら一足飛びに良好な関係を構築するのは難しい条件だが、日本政府関係者は「すでにトランプ氏は高市氏のことを気に入っている」と自信をみせる。
背景には安倍氏とトランプ氏の関係がある。第1次政権で2回の来日を果たしたトランプ氏と当時首相だった安倍氏は、お互いを「ドナルド」「シンゾー」と呼び合う友好関係を構築。相撲観戦やゴルフを共にするなど、その親密さで各国首脳を驚かせた。
確かに安倍氏と高市氏は政治信条の面でも近い。すでにトランプ氏は高市氏を「安倍氏の後継者」と認識しているといい、アジア歴訪前には記者団に「彼女については素晴らしいと聞いている」とも述べた。来日に先立ち25日に実施した電話会談後、高市氏は「私のこともよく認識していただいていた」とした上で、「安倍(晋三)首相の思い出話もされながら、安倍首相がとても気にかけていた政治家であることも知っていると話していた」と語った。
<「高市氏と電話会談をしてもいい」と打診>
トランプ氏の高市氏に対する「期待」は首相就任前から表れていた。日本政府関係者によると、高市氏が自民党総裁に選ばれた後の今月半ば、米国側から「トランプ氏が高市氏のために電話会談をしてもいいと言っている」と水面下で打診があったという。公明党の連立離脱などを受け、首相指名が確実とは言えない情勢だった高市氏をトランプ氏が後押ししようとしたわけだ。結局、高市氏側は石破茂首相(当時)周辺を刺激しないようトランプ氏の打診を断ったという。
高市氏が首相に就任し、トランプ氏来日に向けた準備は急ピッチで進んだ。別の政府関係者によると、政権幹部らが集った打ち合わせの場では、日本が米国から購入予定の米自動車大手フォード・モーターのピックアップトラック「Fー150」を迎賓館に展示してトランプ氏を歓迎することや昼食にステーキを出す案などが話し合われた。ステーキは2019年の前回来日時に安倍氏と食べたメニューでもある。
同関係者は「くだらない演出かもしれないが、機嫌を損ねると何を言い出すか分からないのがトランプ氏だ。喜んで帰っていただくために手を尽くす」とあけすけに語った。
<専門家は防衛費、サハリン2、為替を懸念>
日本政府内の「熱」とは裏腹に、市場の見方は冷静だ。
野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏は、米国が「日本に防衛費の増額を求める可能性が高い」とみる。高市氏は今年度補正予算で増額目標を前倒しで達成する方針を示しているが、「トランプ氏は防衛費を対GDP比3.5%まで増やせと言っている。今回の首脳会談で高市氏が3.5%を要求されるのが悪いシナリオだ」と指摘。「現在進行中の総額43兆円の防衛費でも財源問題が宙に浮いている状態だ。(3.5%を達成するための)10兆円の財源を国債発行で賄うならば、金融市場に大きな影響が出てしまう」と懸念する。
また、米国の対ロシア、中国政策への同調を求められる可能性を指摘。「ベセント米財務長官は加藤勝信前財務相に(ロシアの)サハリン2からの液化天然ガス(LNG)輸入停止を求めている」とし、ロシア産原油の調達を続けてきたインドが段階的な輸入削減を約束したと報じられたほか、欧州も禁輸方針を打ち出している点に触れ、「日本もゼロ回答が難しい状況だが、長期契約で安価に調達できているサハリン2からの即時輸入停止は日本企業にとって非常に難しい」と話す。
一方、クレディ・アグリコル証券チーフエコノミストの会田卓司氏は「高市氏が高圧経済による内需拡大で米国からの輸入が増え、結果として米国にも資するとトランプ氏を納得させることができれば会談は成功だ」と語る。「確かにドル円はかつてに比べて円安の水準だが、この水準だからこそ日本は国内投資、内需を拡大できている。米国にとってもポジティブな話であって、トランプ氏から円高にしろと言われないようにすることが重要だ」とした。
野村証券エグゼクティブ金利ストラテジストの岩下真理氏は「安倍―トランプのような良好な日米関係を引き継いでいってほしい」とする一方、「何でもかんでも言いなりになるのでない、距離感を保った良き友達」の第一歩となる成果を期待した。
(竹本能文、鬼原民幸 編集:橋本浩)
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