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アルゼンチン野党がトランプ氏に反発、支援条件「中間選挙の与党勝利」で

2025年10月23日(木)14時27分

 10月23日 トランプ米大統領(写真左)が先週、ホワイトハウスでアルゼンチンのミレイ大統領(写真右)と記者会見した際、アルゼンチンに対する経済支援の実施について、ミレイ氏が率いる与党が今月の議会中間選挙で勝利することが前提条件になるとの見解を示したことを受け、アルゼンチンでは野党の政治家や支持者の間で反発が広がっている。写真は14日、米ワシントンのホワイトハウスで撮影(2025年 ロイター/Jonathan Ernst)

Leila Miller

[ブエノスアイレス 22日 ロイター] - トランプ米大統領が先週、ホワイトハウスでアルゼンチンのミレイ大統領と記者会見した際、アルゼンチンに対する経済支援の実施について、ミレイ氏が率いる与党が今月の議会中間選挙で勝利することが前提条件になるとの見解を示したことを受け、アルゼンチンでは野党の政治家や支持者の間で反発が広がっている。

トランプ氏の発言後、ソーシャルメディアでは「母国か植民地か」がトレンドとなった。

元国防相で中間選挙ではブエノスアイレス選挙区の野党候補者のホルヘ・タイアナ氏はXへの投稿で、トランプ氏は「アルゼンチン国民に対する強要を停止せよ」と要求した。

クリスティナ・フェルナンデス元大統領が汚職の罪で自宅軟禁されているブエノスアイレスのアパート周辺では、押し寄せた群衆がフェルナンデス氏の発言に耳を傾けた。同氏は「アルゼンチン経済は米国の財務省に遠隔操作で管理されつつある」と訴えた。

トランプ氏が打ち出した400億ドル規模の経済支援には、200億ドルの通貨スワップと200億ドルの融資枠が盛り込まれている。アルゼンチンを拠点とするシンクタンクCLASCOのエグゼクティブディレクター、パブロ・ボマロ氏は、トランプ氏は対アルゼンチン支援によって同国のリチウムを含めた天然資源へのアクセスを確保するとともに、中南米での中国の影響力拡大に歯止めをかけられる可能性があるとの見方を示した。

ただトランプ氏は、中間選挙でミレイ氏が率いる与党「自由の前身(LLA)」が勝利しなければ、支援を撤回すると表明。トランプ氏はホワイトハウスでの記者会見で、米国の対アルゼンチン支援は中間選挙の結果次第かとの質問に「彼ら(与党)が勝利しなければ、われわれは(支援を)長くは続けないだろう」と答えた。

野党の正義党(ペロン党=PJ)はトランプ氏の発言をアルゼンチンへの内政干渉と非難した。

調査会社ズバン・コルドバが9月から10月にかけて実施した世論調査では、回答者の60%がトランプ氏に否定的な見解を示した。コンサルタント会社ゼントリクスの10月の調査でも、回答者の58%が米財務省によるアルゼンチンへの金融支援に反対している。

中間選挙によって、ミレイ氏が深く踏み込んだ緊縮財政を継続できるかどうかが決まる。緊縮財政は同国が財政黒字を達成するのに役立ち、投資家から歓迎されてきたが、有権者の離反を招き、ミレイ氏の支持率が低下している。

ロイター
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