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ビットコインの弱気派優勢に、年末の9万ドル割れ確率50%

2025年11月21日(金)13時45分

ビットコインのイメージ写真。2025年9月10日撮影。REUTERS/Dado Ruvic

Gertrude Chavez-Dreyfuss

[ニューヨーク 20日 ロイター] - 調整局面の暗号資産(仮想通貨)ビットコインに弱気な見方が広がっている。オンラインオプションプラットフォームのDerive.xyz(オーストラリア・キャンベラ)によると9万ドル割れで年を越す可能性は50%に上昇した。

10月初旬に12万6223.18ドルまで上昇したビットコインだが、20日は一時7カ月ぶりの安値をつけ、4.2%安の8万6681.41ドルとなった。年初来では7%以上下げており、今年は22年以来の下落となる見込みだ。

ビットコインが50日移動平均線と200日移動平均線を下回り、トレンドフォローの投資家にもそっぽを向かれているとアナリストは指摘する。

Derive.xyzの調査責任者ショーン・ドーソン氏は「ビットコイン価格は現在、非常に不安定で下向きだ」と指摘し、「金利低下といったこれまでの強気材料がなくなり、価格上昇の勢いは止まってしまった。強気になれる材料は乏しい」と述べた。

<8万5000ドルのプット>

Derive.xyzでは、ビットコインを12月26日に8万5000ドルで売却する権利(プット)が約1万3800枚と大量に集中している。

ドーソン氏は、ハイテク企業の評価を巡るボラティリティーによって、ビットコインが年末までに7万5000ドルまで下落する可能性を指摘した。ただその水準からは急速に回復するとの見方も示した。

一部市場参加者はビットコインがそう遠くない将来に反転すると考えている。

ファンドストラトのデジタル資産戦略責任者ショーン・ファレル氏は最新のノートで「短期的なリスクとリターンは現在、よりバランスが取れているように見える」と指摘した。ビットコインが9万ドルを下回り7カ月ぶり安値をつけた後、売られ過ぎのシグナルが点滅し始めたとし、買い手を引きつける可能性のある「潜在的なバリューゾーン」と称した。

<ボラティリティーは急上昇>

とはいえ、他のオプション指標からは弱気シグナルが出ている。

特定の権利行使価格におけるコールとプットのインプライド・ボラティリティー(IV)の違いを示す「コール・プット・スキュー」は、下落懸念の高まりを反映する。30日物のスキューはマイナス2.9%からマイナス5.3%にマイナス幅が拡大し、トレーダーが一段と下落に保険をかけていることを示している。

ドーソン氏によると、オプションの全体的なボラティリティーも急上昇している。期間30日のIVはわずか2週間で41%から49%に上がり、180日間の長期でも46%から49%に上昇した。

ビットコインの不安定な動きは、あらためて実用の可能性に疑問符を付けた。

ナティクシス・インベストメント・マネジャーズ・ソリューションズのポートフォリオマネジャー、ジャック・ジャナシェビッチ氏は、ビットコインが機関投資家に受け入れられつつあると認めたが、「ビットコインで本当にコーラを買うことができるのか」と一般への普及には懐疑的だ。

同氏は「100万ドルになった時のために、ポートフォリオの1%か2%をビットコインに配分してもよいだろう」と述べ、その程度なら価値がゼロになっても大きな損失にはならないとした。

ロイター
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