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円債は入れ替え中心で残高横ばい 国内株は株高受け売却拡大=第一生命・25年度下期運用計画

2025年10月28日(火)17時11分

 10月28日、第一生命保険は2025年度下期の一般勘定運用で、円建て債券はポートフォリオの「質」の改善を目的とした責任準備対応債券の入れ替えが中心となり、残高は横ばいとの計画を示した。写真は同社の看板。2010年3月、都内で撮影(2025年 ロイター/Yuriko Nakao)

Tomo Uetake

[東京 28日 ロイター] - 第一生命保険は2025年度下期の一般勘定運用で、円建て債券はポートフォリオの「質」の改善を目的とした責任準備対応債券の入れ替えが中心となり、残高は横ばいとの計画を示した。一方、国内株は足元の株価上昇で時価が膨らんでいることもあり、リスク削減のため売却規模の拡大を検討している。

28日に開催した資産運用計画説明会で、市村直人運用企画部長が明らかにした。

円債は、過去に実施した積み増しとリバランスによって既に金利リスクは極小化できているとして、下期は円債ポートフォリオの「質」の改善に向けた責任準備債券の入れ替えが中心となり、上期に続いて残高は横ばいと見込む。

第一生命では年度初め時点で通期の入れ替え規模を7000億円とみていたが、上期に3500億円を上回る入れ替えを実施したことから、通期の入れ替え規模が当初見通しから上振れる公算となった。市村氏は「下期は株式の売却益を一部活用することも考えており、現時点で具体的な入れ替えの規模を言うことは難しいが、7000億円を超える水準にはなる」との見方を示した。

また国内金利の上昇に伴って減損基準に抵触した保有債券の有無について、市村氏は「上場会社として11月に決算(発表)を控える中であり、中間期の状況は差し控えたいが、第1・四半期末時点ではなかった」と説明。その上で「当社では以前から含み損益の状況も踏まえて継続的な入れ替えを行ってきたため、減損が発生する金利水準まではまだ距離があるとの認識だ」と述べた。

日銀の金融政策については、経済情勢・インフレを見極めつつ、12月以降、半年に1回のペースで利上げを実施し、ターミナルレートは1.50%程度との想定を置く。国内金利の見通しは、28日時点1.65%の10年国債利回り(長期金利)は年度末に1.75%と若干の上昇、また、足元で3.07%の30年債利回りは年度末に3.10%と横ばい圏での推移を予想。

現在の30年国債の魅力度について、市村氏は「当社の(平均)負債コストの1.8%程度を十分に補える水準という点では魅力的。ただ需給環境に鑑みると超長期金利がここから急に下がるとも考えておらず、また財政に関するニュースや入札を経ながら上昇する局面もあり得るとみており、現時点では買い急ぐスタンスではない」と述べた。

外国債券のうち「円債代替」である為替ヘッジ付き外債は、円金利上昇で円債の妙味が増してきた中、残高横ばいを見込む。オープン外債は下期は横ばいとする方針だが、上期の売却によって残高が減少したため、通期の残高は減る見込み。

一方で国内株式は、2030年度末に時価残高を1兆5000億円以下とする目標に向けて、削減を継続する。「特に今年度は、株式市場の大幅上昇によって保有時価が拡大しているので、リスク削減を加速し、売却規模の拡大を検討する方向」(市村氏)だという。

オルタナティブ資産は、プライベートエクイティやプライベートデットを中心に積み増す計画。不動産は既存物件の質の改善に注力し、残高横ばいを見込む。

第一生命の一般勘定の資産残高は、3月末時点で33兆8526億円。うち外貨建て資産は4兆3424億円(12.8%)。

25年度下期の相場見通し(レンジと年度末)は以下の通り。

日本10年国債利回り  1.40―2.00%(1.75%)

日本30年国債利回り  2.80─3.50%(3.10%)

米10年国債利回り   3.50―4.50%(4.00%)

日経平均株価      4万―5万4000円(4万9500円)

NYダウ        4万─5万3000ドル(4万9000ドル)

ドル/円        140―160円(153円)

ユーロ/円       160―200円(180円)

ロイター
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