トランプお墨付きの「Qアノン」が笑い事では済まされない理由
Qアノンの陰謀論はばかげていて、トランプには品も原理原則も知性もなく無能である──エリート層の主張は事実だが、教育をあまり受けていない白人にとって、こうした「蔑視」はQアノンの主張を裏付ける証左となり、怒りの火種となる。
人々を動かしているのは感情、つまり「他者」がこの国を自分たちから奪うという恐怖だ。だからこそトランプはQアノン信奉者を取り込んだ。感情という要素抜きにはQアノンの米社会主流への浸透は説明できないし、屈辱感ほど強力で潜在的に危険なものはない。FBIは今、Qアノンが国内テロの源泉になり得るとみている。
Qアノンの狂気とトランプの無知を笑うのは簡単だ。だが本当に笑われるべきは、米社会を建国以来揺さぶってきた社会的・政治的な衝動の深刻さを軽視する人々だ。感情が支配する波は、この分断の時代に米政治の最前線に再び押し寄せている。
<本誌2020年9月22日号掲載>
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