コラム

無価値不動産購入のススメ

2021年10月27日(水)16時50分
不動産イメージ

安い不動産も、自分のものになるとあれこれ手を加えたくなる (筆者撮影)

<二極化する不動産市場の最安物件を狙って一国一城の主になる法>

不動産は人生で一番高い買い物である、という時代は終わった。人口減少で魅力のない地域の不動産は、いまやタダ同然で手に入る時代である。本稿で記述するのは、坪単価1万円程度未満の不動産であり、この購入と活用方法を詳述する。

筆者は趣味で不動産を漁るのが好きだ。とここまで書くと、そんなに資産があるのか?と思われるかもしれないが売れぬ売文業でありむしろ貧乏である。そんな私が暇になると不動産を見て回っているのは、東京近郊には坪単価1万円未満程度の「無価値不動産」がごろごろと眠っており、活用方法によっては大きな利益を手にすることができるからである。

ちなみに上の写真は、筆者が数年前に購入した茨城県の小屋付き土地である。購入後に内装を一新してはいるものの、使用に耐えうる堂々たるワンルームに仕上がった。この不動産の価格は幾らかというと、約30坪で30万円である。風光明媚な農村地帯にポツネンと立つ小屋(小屋部分の面積は約7坪)だが、大変気に入っている。さらには自力で砂利を敷き詰めて駐車スペースも作った。庭いじりもして、丁寧に整えている。

しかし「こんなところ」に小屋を買って何に使うのかと訝しがるかもしれないが、答えは収納スペース、ずばり倉庫である。写真はまだ物を入れる前の状態だが、筆者はここに家ではとても収納できない大量の蔵書4000冊余りをぶち込んでいる。それでも室内にはまだまだ余裕があり、クーラーや冷蔵庫も設置して寝泊りできる環境を整えている。

日本の住宅は、持ち家住宅に限れば平均床面積約120平米と欧州先進国と遜色はないが、賃貸住宅に限るとそれは約45平米程度であり、なお劣悪である。そんな住宅事情の中、物が溢れ、所謂「家具の谷間の生活」から何とか抜け出そうと、きょうびではトランクルームの需要がきわめて高まっている。0.5畳程度の狭小なものから、大型になるとコンテナ一個分まで、大体どの地域でも6000円/月~20000円/月程度でレンタル可能である。このトランクルームに不用品だが捨てられないモノを詰めて、少しでも現居住スペースを広く取りたいという需要があるわけだ。

 しかしこのトランクルーム、あくまで貸倉庫(スペース)であり、その面積が広くなればなるほど当然賃料は上がる。年に数回しか倉庫から物を出し入れしないのであれば、いっそのこと東京近郊の無価値不動産を買って、巨大な倉庫にしたほうがお得である。

プロフィール

古谷経衡

(ふるや・つねひら)作家、評論家、愛猫家、ラブホテル評論家。1982年北海道生まれ。立命館大学文学部卒業。2014年よりNPO法人江東映像文化振興事業団理事長。2017年から社)日本ペンクラブ正会員。著書に『日本を蝕む極論の正体』『意識高い系の研究』『左翼も右翼もウソばかり』『女政治家の通信簿』『若者は本当に右傾化しているのか』『日本型リア充の研究』など。長編小説に『愛国商売』、新著に『敗軍の名将』

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

シリア反政府勢力、4都市目制圧 ホムスにも迫る

ワールド

韓国大統領、戒厳令謝罪も辞任触れず 「党に任期一任

ワールド

TikTok禁止法は合憲、米控訴裁が判断 運営会社

ワールド

韓国大統領、7日午前10時に国民向け演説へ=大統領
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:サステナブルな未来へ 11の地域の挑戦
特集:サステナブルな未来へ 11の地域の挑戦
2024年12月10日号(12/ 3発売)

地域から地球を救う11のチャレンジと、JO1のメンバーが語る「環境のためできること」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    2年半の捕虜生活を終えたウクライナ兵を待っていた、妻の「思いがけない反応」...一体何があったのか
  • 2
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    国防に尽くした先に...「54歳で定年、退職後も正規社員にはなりにくい」中年自衛官に待ち受ける厳しい現実
  • 4
    朝晩にロシア国歌を斉唱、残りの時間は「拷問」だっ…
  • 5
    まさに「棚ぼた」の中国...韓国「戒厳令」がもたらし…
  • 6
    水面には「膨れ上がった腹」...自身の倍はあろう「超…
  • 7
    健康を保つための「食べ物」や「食べ方」はあります…
  • 8
    「際どすぎる姿」でホテルの窓際に...日本満喫のエミ…
  • 9
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢…
  • 10
    「もう遅いなんてない」91歳トライアスロン・レジェ…
  • 1
    2年半の捕虜生活を終えたウクライナ兵を待っていた、妻の「思いがけない反応」...一体何があったのか
  • 2
    エリザベス女王はメーガン妃を本当はどう思っていたのか?
  • 3
    国防に尽くした先に...「54歳で定年、退職後も正規社員にはなりにくい」中年自衛官に待ち受ける厳しい現実
  • 4
    健康体の40代男性が突然「心筋梗塞」に...マラソンや…
  • 5
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田…
  • 6
    NewJeansの契約解除はミン・ヒジンの指示? 投資説な…
  • 7
    メーガン妃の支持率がさらに低下...「イギリス王室で…
  • 8
    BMI改善も可能? リンゴ酢の潜在力を示す研究結果
  • 9
    朝晩にロシア国歌を斉唱、残りの時間は「拷問」だっ…
  • 10
    ウクライナ前線での試験運用にも成功、戦争を変える…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
  • 9
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 10
    建物に突き刺さり大爆発...「ロシア軍の自爆型ドロー…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story