最新記事
中東

シンワール殺害で終結は間近か? ガザ戦争の行方とネタニヤフの選択

A Chance for Peace?

2024年10月23日(水)11時30分
フレッド・カプラン(スレート誌コラムニスト)
シンワールはハマスによるイスラエル奇襲事件の首謀者だった(写真は2021年5月、ガザ) AHMED ZAKOTーSOPA IMAGESーLIGHTROCKET/GETTY IMAGES

シンワールはハマスによるイスラエル奇襲事件の首謀者だった(写真は2021年5月、ガザ) AHMED ZAKOTーSOPA IMAGESーLIGHTROCKET/GETTY IMAGES

<イスラエル奇襲の首謀者を討ち取っても、ネタニヤフ首相は矛を収めそうにないが>

イスラエル兵がヤヒヤ・シンワールを殺害──。そんなニュースが飛び込んできたのは10月17日のことだ。

シンワールは、パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスの最高指導者で、昨年10月7日のハマスによるイスラエル奇襲の首謀者でもある。当然、イスラエルにとっては、絶対に討ち取りたい標的の1人だった。


その「任務」が片付いたことで、約1年にわたりガザ(と近隣諸国)で続いてきた紛争に終止符が打たれる可能性が出てきた......ようだ。

昨年の奇襲の犠牲者は1200人(ほとんどが民間人)と、ユダヤ人が1日に殺害された数としては、ナチスドイツによるホロコースト以来だとして大きな衝撃を与えた。しかし、これに対するイスラエルの報復攻撃は、ガザのパレスチナ人推定4万人以上の命を奪った。こちらも犠牲者のほとんどは民間人で、多くは女性と子供だった。

それなのに、この戦争の原因をつくったシンワールは奇襲以来、ガザの地下に複雑に張り巡らされたトンネルに潜伏していた。

16日にイスラエル兵が、ガザ南部の建物にいた3人の男に向けて発砲したとき、そのうちの1人がシンワールだとは、兵士たちも思いもしなかったようだ。だが、3人の遺体を調べると、1人がハマスの最高指導者に酷似していた。そこで彼らの上官が、遺体のDNAと指紋と歯型を採取して当局に照会したところ、すぐにシンワールであることが確認されたという。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イラン主要濃縮施設の遠心分離機、「深刻な損傷」の公

ワールド

欧州委、米の10%関税受け入れ報道を一蹴 現段階で

ワールド

G7、移民密輸対策で制裁検討 犯罪者標的=草案文書

ワールド

トランプ氏「ロシアのG7除外は誤り」、中国参加にも
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:コメ高騰の真犯人
特集:コメ高騰の真犯人
2025年6月24日号(6/17発売)

なぜ米価は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 2
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 3
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 4
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 7
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 10
    コメ高騰の犯人はJAや買い占めではなく...日本に根…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 5
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 6
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 7
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 8
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 9
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 10
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 7
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 8
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 9
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 10
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中