最新記事
ウクライナ侵攻

迫るロシア軍からドネツク州ポクロフスク近郊で、大規模な避難活動...東部戦線の「ターニングポイント」に

A NARROW ESCAPE

2024年10月11日(金)09時28分
小峯弘四郎(フォトジャーナリスト)

クラコバから北東に20分程度でヘルニャックの西の端の待ち合わせ地点に到着した。車を止めて1分もしないうちに猛スピードで1台の白いバンが近づいてくる。こちらの車両を少し追い越したところで急停車。車のドアが開くと、数人が駆け降りてきて荷物を降ろし始めた。

そして車内から数人が降りてきた。西日を背に粛々と車へと乗り込む。その光景に見とれ、気付いた時にはもう出発だった。


救出活動の最前線ヘルニャックでの滞在時間はわずか2分。その間に撮影した写真は数カットだけだったが、本当に心動かされてシャッターを切った。

9月12日、ボランティアのフェディールが支援物資を持っていくというので、防弾ガラスを貼り装甲された車両に同乗して、ロシア軍があと2~3キロまで迫っているセリドベに向かった。

8月末に訪れた際は、危険とはいえ人通りもあり、営業中の店もあった。

だが改めて訪れた町は主要な建物が破壊され、道路にバリケードが張り巡らされていた。この日は特に砲撃音が激しく、どちらのものか不明なドローンが上空を絶えず行き交い、通り過ぎてしばらくするとドローンを狙う機関銃の音が響いてきた。

ポクロフスクに迫る砲撃音

このようにとても危険な状況の中、物資を届けるのはなぜなのか。フェディールは言う。

「2日に1度、朝のうちにパンや水を届けている。町には2000人くらいの人が残っていて、みんな何らかの理由があり避難をしようとはしないんだ。だから自分が必ず食料や水などを届けている。皆が私のことを待っている」

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

プーチン大統領、トランプ氏にクリスマスメッセージ=

ワールド

ローマ教皇レオ14世、初のクリスマス説教 ガザの惨

ワールド

中国、米が中印関係改善を妨害と非難

ワールド

中国、TikTok売却でバランスの取れた解決策望む
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...どこでも魚を養殖できる岡山理科大学の好適環境水
  • 4
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 5
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 6
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 7
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 8
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 9
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 10
    【銘柄】「Switch 2」好調の任天堂にまさかの暗雲...…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 5
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 6
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 7
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 8
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 9
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 10
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 8
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 9
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 10
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中