最新記事
欧州

プリゴジンの乱を収めたベラルーシのルカシェンコ、存在感強める ワグネル傭兵らを迎え入れプーチンへの切り札に?

2023年6月28日(水)19時10分
ロイター

別の反体制派の1人は、プーチン氏とルカシェンコ氏について「互いに嫌っているが、必要としている」と「一蓮托生の間柄」だと説明した。

ルカシェンコ氏も、自らとベラルーシの現体制の命運がプーチン氏と切っても切れない関係にあると認めている。27日には「もしもこの混乱がロシア全土に広がっていたなら、そしてその前提となる条件は無数にあったわけだが、次はわれわれの番だっただろう。ロシアが崩壊すれば、われわれ全員ががれきの下敷きになる」と語った。

ロシアの称賛

ロシア議会下院は27日の開会に際して、ルカシェンコ氏とプーチン氏に賛辞と拍手を送った。

プーチン氏も26日夜に行った反乱収束後初めての演説で、ルカシェンコ氏に対して「彼の努力と献身で事態が平和的に決着した」ことに感謝を表明した。

ロシア国営テレビの有名司会者はルカシェンコ氏をロシアにとって英雄に値すると持ち上げ、ペスコフ大統領報道官は27日、ルカシェンコ氏を「経験豊富で賢明な政治家」と呼んでいる。

ベラルーシ国内のメディアも、厳重な統制下での声ではあるものの、ルカシェンコ氏をロシアの救世主とたたえた。

独立系メディアが伝えた国営テレビの放送内容によると、司会者はベラルーシが「スラブ民族の平和の立役者」になりつつあると評し「何百、いや恐らくは何千人ものロシア国民が救われた。大ロシアの領土的一体性と社会的な調和も救われた」と述べた。

ロシアの権力中枢を揺さぶったワグネル反乱の余波は、まだ続いている。

そうした中でルカシェンコ氏の仲介により、反乱首謀者のプリゴジン氏がベラルーシ国内に入ったことが明らかになった。今後は数千人に上るワグネルの戦闘員が、プリゴジン氏に続いてベラルーシに入国するかもしれない。

ルカシェンコ氏は27日、ベラルーシがワグネルを恐れる必要はないと強調。「われわれは彼らを注視していく」と付け加えた。

(Andrew Osborn記者)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2023トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

試写会
『クィア/Queer』 ニューズウィーク日本版独占試写会 45名様ご招待
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

インド4月自動車販売、大手4社まだら模様 景気減速

ビジネス

三菱商事、今期26%減益見込む 市場予想下回る

ワールド

米、中国・香港からの小口輸入品免税撤廃 混乱懸念も

ワールド

アングル:米とウクライナの資源協定、収益化は10年
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 5
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 6
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    目を「飛ばす特技」でギネス世界記録に...ウルグアイ…
  • 9
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 10
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中