最新記事

戦争

第二のウクライナ化を恐れるジョージア プーチンの動員令逃れるため11万のロシア人が避難

2022年12月5日(月)17時43分

ウクライナの二の舞を恐れるジョージア

ただ、人口わずか370万人、ロシアに比べて経済力の弱い国に比較的裕福なロシア人が大勢流入したことで、緊張も生まれている。

ジョージアで野党議員を務めるサロメ・サマダシビリ氏は、自身のオフィスにあるウクライナ国旗の前で「事態は収拾できない状態にあるという見方もある」と指摘する。

ジョージアのアブハジア地方、南オセチア地方は、ロシアを後ろ盾とした分離独立主義者が実効支配している。2008年、ロシアは、両地方がジョージア政府の脅威にさらされているとして、ジョージアの他の地域へも短期間の軍事介入を行った。

サマダシビリ氏は、プーチン氏がウクライナ侵攻時と同様、ジョージア国内のロシア人を「保護するため」との口実をジョージアへの侵攻拡大に利用しかねないと懸念を示す。

ジョージア人の多くは国の5分の1がロシアの占領下にあると考えており、抗議活動の際などにはそうした訴えの声も上がる。

戦争やロシア国内でのプーチン氏による強権政治に反発してやって来た大勢のロシア人は、こうしたメッセージに共感している。中にはジョージアに定住を決めた人もいる。

3月にトビリシに引っ越した起業家のデニス・シェベンコフさんは「移住を決意したのは、もっと自由を感じるためだ」と話す。

シェベンコフさんは6月、トビリシでコーヒーの事業を開始。先月にはロシアのサンクトペテルブルクで元々開いていたコーヒー店を畳んだ。

「サンクトペテルブルクにいた警察の態度や、自治体政府や当局がしていたことを思い返すと、全く戻りたいと思わない」

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2022トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

インフレ鈍化「救い」、先行きリスクも PCE巡りS

ワールド

韓国輸出、5月は前年比-1.3% 米中向けが大幅に

ワールド

米の鉄鋼関税引き上げ、EUが批判 「報復の用意」

ワールド

ガザ停戦案、ハマスは修正要求 米特使「受け入れられ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岐路に立つアメリカ経済
特集:岐路に立つアメリカ経済
2025年6月 3日号(5/27発売)

関税で「メイド・イン・アメリカ」復活を図るトランプ。アメリカの製造業と投資、雇用はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシストの特徴...その見分け方とは?
  • 2
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が知らないアメリカの死刑、リアルな一部始終
  • 3
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 4
    「ホットヨガ」は本当に健康的なのか?...医師らが語…
  • 5
    ペットの居場所に服を置いたら「黄色い点々」がびっ…
  • 6
    【クイズ】生活に欠かせない「アルミニウム」...世界…
  • 7
    「これは拷問」「クマ用の回転寿司」...ローラーコー…
  • 8
    メーガン妃は「お辞儀」したのか?...シャーロット王…
  • 9
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 10
    イーロン・マスクがトランプ政権を離脱...「正直に言…
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシストの特徴...その見分け方とは?
  • 3
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が知らないアメリカの死刑、リアルな一部始終
  • 4
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多…
  • 6
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 7
    「ディズニーパーク内に住みたい」の夢が叶う?...「…
  • 8
    ヘビがネコに襲い掛かり「嚙みついた瞬間」を撮影...…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「金の産出量」が多い国は?
  • 10
    イーロン・マスクがトランプ政権を離脱...「正直に言…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 7
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 8
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 9
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 10
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中