最新記事

事件

サウジ記者殺害、死刑判決に婚約者「真相は闇に葬られる」と執行停止訴え

2019年12月25日(水)09時40分

サウジアラビア人記者ジャマル・カショギ氏殺害事件でサウジの裁判所が5人に死刑判決を言い渡したことに対し、カショギ氏の婚約者ハティジェ・ジェンギス氏(写真)は24日に声明を発表、判決は不公平で無効だとし、死刑が執行されれば事件の真相は解明されないままになると指摘した。イスタンブールでの記者会見で2月撮影(2019年 ロイター/Murad Sezer)

サウジアラビア人記者ジャマル・カショギ氏殺害事件でサウジの裁判所が5人に死刑判決を言い渡したことに対し、カショギ氏の婚約者ハティジェ・ジェンギス氏は24日に声明を発表、判決は不公平で無効だとし、死刑が執行されれば事件の真相は解明されないままになると指摘した。

サウジ検察当局は23日、カショギ氏殺害事件で、5人に死刑判決が言い渡されたと明かした。一方、サウジの実力者、ムハンマド皇太子の側近2人は無罪となった。

ジェンギス氏は声明で、裁判は非公開で行われ、有罪判決を受けた者がなぜ犯行に及んだかが明らかになっていないと批判。「判決を言い渡された者が証言や説明の場を与えられないまま死刑が執行されれば、殺人事件の真相は闇に葬られる恐れがある」と指摘。判決を非難し、死刑執行を止めさせるよう各国当局に訴えた。

判決には国際社会から正当性を疑問視する声が相次いでいる。トルコは23日、正義の実行からはほど遠いと批判する声明を発表した。

カショギ氏が寄稿していた米紙ワシントン・ポストのフレッド・ライアン発行人兼最高経営責任者(CEO)も、透明性に欠け、見せかけの裁判だと批判した。

一方、カショギ氏の息子の1人サラーハ氏は23日、判決は同氏の子供たちにとり公平だったとツイッターに投稿した。

「われわれはサウジの司法制度を全面的に信頼しており、判決は公平で、正義がわれわれにもたらされた」と書き込んだ。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



2019123120200107issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2019年12月31日/2020年1月7日号(12月24日発売)は「ISSUES 2020」特集。米大統領選トランプ再選の可能性、「見えない」日本外交の処方箋、中国・インド経済の急成長の終焉など、12の論点から無秩序化する世界を読み解く年末の大合併号です。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アマゾン、3年ぶり米ドル建て社債発行 150億ドル

ビジネス

ドイツ銀、28年にROE13%超目標 中期経営計画

ビジネス

米建設支出、8月は前月比0.2%増 7月から予想外

ビジネス

カナダCPI、10月は前年比+2.2%に鈍化 ガソ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国か
  • 3
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地「芦屋・六麓荘」でいま何が起こっているか
  • 4
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    山本由伸が変えた「常識」──メジャーを揺るがせた235…
  • 7
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 8
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 9
    経営・管理ビザの値上げで、中国人の「日本夢」が消…
  • 10
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 10
    ヒトの脳に似た構造を持つ「全身が脳」の海洋生物...…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中