最新記事

韓国事情

輸出規制で在庫確保に奔走する韓国企業トップ

2019年7月23日(火)15時30分
佐々木和義

脱日本依存はどこまで進むか

各社が在庫確保に東奔西走する一方、脱日本依存の動きがあるとメディアは報じている。MBC (文化放送)は同18日のニュース番組で、LGディスプレイが日本産フッ化水素の代わりとなる国内製品のテストを終えたと報じ、中国上海証券報インターネット版も中国山東省の化学企業が韓国の半導体企業からフッ化水素の受注に成功したと報じている。

韓国政府は部品や材料研究開発(R&D)に対する税制支援を拡大する方針を定めたが、「2018中小企業技術統計調査報告書」によると、韓国中小企業の核心技術は米国から1.9年、ドイツから1.6年、また日本からは1.8年遅れている。韓国の中小企業のR&D投資は2007年の6億3000万ウォン、平均研究員数8.3人から2017年には年3億4000万ウォン、4.3人に減っており、脱日本依存は容易ではない。

日本政府の韓国に対する規制は簡略化していた輸出検査を原則通りに行う措置であり、輸出自体を制限するものではない。発注から輸出までに要する期間は長くなるが、個別検査で問題ないと判断された素材や部品の輸出は継続される。

韓国製品が日本製品を代替しうる品質に到達する頃には、検査を伴う輸出入手続きが定着する可能性がある上、日本の技術はさらに進んでいるだろう。

韓国政府は脱日本依存を掲げるが、日本企業は輸入規制より、韓国市場の空洞化による需要減を危惧している。需要の好転が期待できないR&Dを韓国企業がどこまで継続するのか。日本からの輸入依存に戻る可能性も否定できない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

鉱物資源協定、ウクライナは米支援に国富削るとメドベ

ワールド

米、中国に関税交渉を打診 国営メディア報道

ワールド

英4月製造業PMI改定値は45.4、米関税懸念で輸

ビジネス

日銀、政策金利を現状維持:識者はこうみる
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 10
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中