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韓国事情

韓国にとって、CPTPP加盟は「究極の選択」

2019年2月22日(金)15時10分
佐々木和義

加盟しても問題、加盟しなくても問題......

こうして、日本とFTAを締結すると貿易赤字が拡大することが予想され、また、このままでも世界の通商の変化に取り残される懸念が広がりはじめた。トランプ政権発足後から対米黒字は年々減少し、さらに2019年2月1日、日本とEUの経済協力協定EPAが発効した。韓国は日本に先行してEUとFTAを締結し、韓国車の西欧市場でのシェアが拡大するなど優位に展開したが、日本とEUのEPAで韓国企業のメリットは消滅する。

また、投資・サービス、知的財産などを包括するCPTPPは、FTAより市場開放の水準が高い。今後、加盟国間の取引が活発化すると韓国の競争力は相対的に低下することが予想される。日本やオーストラリアが、より有利な条件で東南アジア市場を攻略できるようになるからだ。ベトナムやマレーシアなど韓国の対外貿易が増えている加盟諸国への影響力の低下は避けられない。

今、韓国は加盟した時に予想される対日貿易赤字の拡大と、加盟しないままで東南アジアへの影響力が低下することの板挟みに悩むなか、企画財政部は、いつかは加盟しなければならないとし、また、日韓関係の改善カードを求める外交部も加盟に積極的で政府は年内に検討を終えたいとしている。しかし、2013年にTPPへの関心を表明してから一歩も進んでいない政府が結論を出せるのか疑問視する声もあがっている。

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