最新記事

テクノロジー

ダイムラー、音声認識やAI搭載の新型メルセデス発表 ハイテク業界に対抗

2018年2月5日(月)11時09分

2月2日、ドイツの自動車大手ダイムラーは、新型「Aクラス」(写真)を発表した。アムステルダムで撮影(2018年 ロイター/Cris Toala Olivares)

ドイツの自動車大手ダイムラーは2日、新型「Aクラス」を発表した。独自のマシンラーニング(機械学習)や音声認識などのハイテク技術を搭載、こうした分野で先行する米シリコンバレーのハイテク企業に対抗する姿勢を示した。

新型Aクラスは音声認識や人工知能(AI)の技術を駆使した「MBUX」と呼ばれるダッシュボードシステムを装備。アマゾン・ドット・コムの「アレクサ」やアップルの「Siri」、アルファベットの「グーグル・アシスタント」と同様に音声の認識してその意味を理解する。

また新型Aクラスは、新たな外観で車内は従来より広く設計され、高速道路で運転者を支援する半自動運転の機能も搭載した。

メルセデスは新型Aクラスの価格が現行モデルの最低2万4000ユーロ(3万ドル)から上がるかどうかには言及しなかった。だがダイムラーのディーター・ツェッチェ最高経営責任者(CEO)はアクセルなどの部品での費用節減が技術投資を相殺すると指摘、収益性は改善すると述べた。

自動車メーカー各社がハイテク技術の装備を競い合う中、スマートフォンなどとも重複する新サービスの最終的な収益性を巡って疑問が投げ掛けられている。ダイムラーも1日、2018年の利益は技術への投資によって伸びが抑えられるとの見通しを示している。

自動車メーカー各社、特に高級車を生産するメーカーは、自動運転やコネクテッド・サービスなどの分野で大手ハイテク企業の進出に抵抗している。

調査会社ガートナーのアナリスト、マイク・ラムジー氏は「グーグルやアマゾンの音声アプリが併存することは素晴らしいが、どの自動車メーカーも空調を制御する音声システムをアレクサにはしたがらない」と指摘した。

さらに同氏は、ダイムラーのシステムは「ハイテク企業との差を縮小する」ものであり、「宣伝された通りに作動すれば、メルセデスは新たな標準を打ち立てるとともに、実際にSiriやグーグルのように働く音声インターフェイスを独自に構築できるという希望を他の自動車メーカーに与える」と述べた。

[アムステルダム 2日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

スパイ容疑で極右政党議員スタッフ逮捕 独検察 中国

ビジネス

3月過去最大の資金流入、中国本土から香港・マカオ 

ビジネス

ユーロ圏総合PMI、4月速報値は51.4に急上昇 

ビジネス

景気判断「緩やかに回復」据え置き、自動車で記述追加
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 3

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバイを襲った大洪水の爪痕

  • 4

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    冥王星の地表にある「巨大なハート」...科学者を悩ま…

  • 9

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 10

    ネット時代の子供の間で広がっている「ポップコーン…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 7

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中