最新記事

アメリカ政治

トランプの税制改革案、富裕層優遇との批判に直面

2017年9月29日(金)12時41分

9月28日、米ホワイトハウスは、トランプ大統領が発表した税制改革案が低所得層を犠牲にして富裕層を支援する改革だとの批判をかわすのに苦戦している。写真は税制改革について演説する米大統領。インディアナポリスで27日撮影(2017年 ロイター/Jonathan Ernst)

米ホワイトハウスは、トランプ大統領が発表した税制改革案が低所得層を犠牲にして富裕層を支援する改革だとの批判をかわすのに苦戦している。

トランプ大統領は27日発表した税制改革案について「中間層に奇跡」を起こすと強調したが、米国家経済会議(NEC)のコーン委員長は28日、ホワイトハウスで記者団に対し、すべての中間層の税金が減ると保証することはできないと述べた。

同委員長はその上で、中間層への恩恵を強調。「われわれの税制改革案は中間層の減税を確実にするのが狙いだ。そのために多くの時間を費やしてきた。われわれにはそれを実現するための手段が多くある」と語った。

独立系アナリストの試算によると、トランプ氏の法人・個人向け税率引き下げ案により、連邦政府の歳入は今後10年間に5兆ドル超減少するとみられる。

米国はすでに20兆ドルの債務を抱えているが、共和党の案は減税について具体的に示す一方、議会を通過した場合に歳入の減少分をどう補うかについてはほとんど詳細を明らかにしていない。

同案の反対派からは、議会が4兆ドルの財源確保で合意できなければ、税制改革案の縮小が必要になるとの見方も出ている。

トランプ氏の税制改革は、連邦法人税率を現行の35%から20%に引き下げる。個人所得税は現在7段階に分かれている税率を12、25、35%の3段階に簡素化するほか、最高税率を39.6%から35%に引き下げる。

トランプ政権は税率区分に所得水準を割り振っていない。

トランプ氏は富裕層優遇にはならないとしているが、民主党は改革案が富裕層と企業へのばらまきだと批判した。

同案の反対派は、個人所得税の最低税率区分が10%から12%に引き上げられることに着目している。

議会下院歳入委員会のブレイディ委員長(共和党)はこの批判について、誤っていると指摘。「10%の区分はゼロになる。低中所得層の暮らしは良くなる」と強調した。

共和党は来年1月までの税制改革法制化を目指している。

[ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

フジ・メディア、村上氏側に株買い増し目的など情報提

ワールド

中国、米国による船舶拿捕は「重大な国際法違反」

ビジネス

中国万科、債権者が社債の返済猶予延長を承認=関係筋

ワールド

トランプ氏、グリーンランド特使にルイジアナ州知事を
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリーズが直面した「思いがけない批判」とは?
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    週に一度のブリッジで腰痛を回避できる...椎間板を蘇…
  • 6
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 7
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 8
    【外国人材戦略】入国者の3分の2に帰国してもらい、…
  • 9
    米空軍、嘉手納基地からロシア極東と朝鮮半島に特殊…
  • 10
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 6
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 9
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 10
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中