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米民主党

好調ヒラリーを襲う財団疑惑

2016年9月1日(木)15時10分
ジョシュ・ブアヒーズ

そうはいっても、共和党候補のドナルド・トランプが続けてきた暴言のほうが問題では?


 そのとおり。もしもトランプが当選したら、ヒラリーよりもさらに危険な利益相反を抱える大統領になるだろう。だがクリントン側にとって、この財団問題が重くのしかかることは間違いない。

 トランプはどうしようもない人間かもしれない。クリントン財団のスキャンダルによって最も利益を得る人物かもしれない。しかしビルとヒラリーの2人を合わせた政治的影響力を考えると、このスキャンダルはアメリカ政治に付き物の利益相反を精査する良い機会になる。精査の緊急性は、「クリントン大統領」が再び誕生する可能性が高まるにつれて、増す一方だ。

とはいえ、クリントン財団のこれまでの業績は評価されるべきでは?

 クリントン財団は、人権や保健事業で高い業績を上げている。クリントン家と財団のスタッフ、寄付者が称賛に値することは間違いない。

 だが、ヒラリーが大統領選に出馬したり、実際に国を動かす立場になったなら、寄付者はクリントン財団を影響力を勝ち取るルートと見なすだろう。寄付者が本当の意味で慈善の心だけで動き、政治的影響力に興味がないのなら、今後4年または8年は、他の非営利団体を慈善行為の受け皿にするはずだ。

問題はいつ解決するのか。

 トランプが政治史上最大の番狂わせを演じて大統領に当選するか、ビルとヒラリーが悔い改めて寄付受け入れをすぐに中止しない限り、この問題はクリントン家が政界から退く21年頃までは解決しないだろう。

© 2016, Slate

[2016年9月 6日号掲載]

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