最新記事

中南米

キューバ政治犯を救うのは教会か

2010年6月28日(月)12時39分
ニック・ミロフ(ハバナ)

 社会主義国キューバはカトリック教会を長年にわたって冷遇。教会は政治的発言を封じられてきた。

 だがここ数週間で、こうした立場が一気に変わり始めている。キューバ政府が教会幹部との対話に応じ、教会の影響力が増しているのだ。同時に、服役中の政治犯の釈放に向けて、教会が果たす役割に期待が高まっている。

 キューバ政府による対話の動きは反政府勢力への強硬姿勢が緩和される第一歩かもしれない。キューバは長年、外国政府などからの「人権侵害」批判に反発してきた。

 これまでキューバ政府は刑務所に政治犯は1人もいないと主張。だが人権擁護団体アムネスティ・インターナショナルによると、「良心の囚人」の数は50人以上で、地元活動家の推計では政治犯は約190人に上る。

 今のところ、キューバ政府の「第一歩」は控えめだ。10人ほどの囚人を家族の家に近い刑務所に移送。6月12日には下半身不随の政治犯アリエル・シグレ・アマヤに仮出所を許可した。

 だが、より大きな前進も期待できるかもしれない。国内の教会は地元に根付いた勢力だ。政府が外国からの圧力に屈したとみられることなく強硬姿勢を緩和したいのなら、仲介役として最適だろう。

GlobalPost.com特約)

[2010年6月30日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

バイデン氏、日鉄のUSスチール買収を阻止へ 国家安

ワールド

バイデン氏、トランプ政権下で「トリクルダウン経済」

ビジネス

JPモルガン幹部、第4四半期の投資銀行手数料収入は

ワールド

EU外相、シリアの宗派間暴力への懸念表明 過激主義
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:韓国 戒厳令の夜
特集:韓国 戒厳令の夜
2024年12月17日号(12/10発売)

世界を驚かせた「暮令朝改」クーデター。尹錫悦大統領は何を間違えたのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達した江戸の吉原・京の島原と並ぶ歓楽街はどこにあった?
  • 2
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼンス維持はもはや困難か?
  • 3
    「男性ホルモンが高いと性欲が強い」説は誤り? 最新研究が示す新事実
  • 4
    無抵抗なウクライナ市民を「攻撃の練習台」にする「…
  • 5
    人が滞在するのは3時間が限界...危険すぎる「放射能…
  • 6
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田…
  • 7
    韓国大統領の暴走を止めたのは、「エリート」たちの…
  • 8
    キャサリン妃が率いた「家族のオーラ」が話題に...主…
  • 9
    ジンベエザメを仕留めるシャチの「高度で知的」な戦…
  • 10
    ティラノサウルス科の初記録も!獣脚類の歯が明かす…
  • 1
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 2
    2年半の捕虜生活を終えたウクライナ兵を待っていた、妻の「思いがけない反応」...一体何があったのか
  • 3
    国防に尽くした先に...「54歳で定年、退職後も正規社員にはなりにくい」中年自衛官に待ち受ける厳しい現実
  • 4
    朝晩にロシア国歌を斉唱、残りの時間は「拷問」だっ…
  • 5
    人が滞在するのは3時間が限界...危険すぎる「放射能…
  • 6
    「糖尿病の人はアルツハイマー病になりやすい」は嘘…
  • 7
    健康体の40代男性が突然「心筋梗塞」に...マラソンや…
  • 8
    肌を若く保つコツはありますか?...和田秀樹医師に聞…
  • 9
    ついに刑事告発された、斎藤知事のPR会社は「クロ」…
  • 10
    キャサリン妃が率いた「家族のオーラ」が話題に...主…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
  • 9
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田…
  • 10
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中