世界的ベストセラー作家の「ロシアが舞台」の小説が刊行中止に...読者に媚びる出版業界の「気概なさ」
A Babying of Readers
昨年、『食べて、祈って、恋をして』を読んだとき、私はなんだか古くて懐かしい感覚を覚えた。あの本が出たのは06年だから、決して古くはない。
リブステーキの食べすぎで太るのが怖いといった話にうんざりしたのは事実だけれど、私はむしろ彼女の書きっぷりに共感を覚えていた。
あの頃の彼女は、読者の反応など気にしてもいなかったからだ。1章ごとに「ちょっと偉そうに聞こえたらごめんなさい」とか「もちろん誰にも当てはまる話ではないのですが」という断り書きを入れるタイプではなかった。
当時の書評に、失恋の痛手を癒やすために大枚をはたくなんてあり得ないという突き放した批判があったのは覚えている。
あるフェミニスト系のサイトは、この本には『お金持ちで気まぐれで白い肌』という題がふさわしいとまで書いた。でもギルバートは、読者にどう思われるかなんて少しも気にせずに書き、堂々と世に問うていた。
あの頃の彼女に比べて、新作の出版を延期した今の彼女は牙を抜かれてしまったのか。いや、違う。むしろ出版界に情けない変化が起きて、読者にこびることが常態化しているのではないか。
いずれは『スノーフォレスト』が世に出る日も来るだろう。そのときは今回みたいな騒ぎにならず、読者からの余計なお世話もないといい。
今回のギルバートの決断は拙速で愚かだった。でも、書評投稿サイト「グッドリーズ」へのひどい書き込みを見れば分かる。あれでは、彼女が諦めたのも無理はない。
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