最新記事

BOOKS

全米女性の心を潤す、大ベストセラー「恋愛小説家」コリーン・フーバーって誰?

The Unlikely Author

2022年09月02日(金)09時40分
ローラ・ミラー(コラムニスト)

一方、物語の舞台となる場所の地域性や空気感を感じさせる描写は、ほとんどない。ボストンやサンフランシスコといった舞台の描写は最小限で、適当に選ばれたようにさえ感じられる。

そのぶん、フーバーの小説には山あり谷ありのラブストーリーや、詳細なセックスシーン、キャッチーな設定、そして荒唐無稽なひねりがぎっしり詰まっている。どれも大衆小説によく使われる要素だが、ここまで大量に詰め込んだ小説はあまりない。

例えば、『ノーベンバー9』は、生涯を共にすることはできないが、年に1度だけ会うことにしたカップルを描く(何度も映画化された『めぐり逢い』と同じ設定だ)。

自虐的なウイットの持ち主である主人公(ジョン・グリーンの小説から抜け出してきたような作家だ)との年に1度の逢瀬で、トラウマを抱えたヒロイン(大火事による負傷で女優としてのキャリアを絶たれた)が再び自信をつけていく展開は、まあいい。

ところが、2人がついに一緒になろうと決意したとき、ヒロインの実家に放火したのは彼だったことが判明する。彼の母親が自殺したのは、ヒロインの父親のせいだと思ったからだという(ただし火を放ったとき、その家には誰もいないと思っていた)。

まさに大衆小説が持つべき要素がてんこ盛りだ。その意味では、フーバーの小説は、読者を喜ばせる要素を最も効率的かつ最大限に届けるメカニズムと言うこともできる。

「だからなに?」とファンは言うかもしれない。「最高なんだからいいじゃない」と。

©2022 The Slate Group


 コリーン・フーヴァー (著)
 相山 夏奏 (訳)
 二見書房

(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

トランプ氏、FRB次期議長の承認に自信 民主党の支

ワールド

エプスタイン文書追加公開、ラトニック・ウォーシュ両

ワールド

再送-米ミネソタ州での移民取り締まり、停止申し立て

ワールド

移民取り締まり抗議デモ、米連邦政府は原則不介入へ=
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    24歳年上の富豪と結婚してメラニアが得たものと失っ…

  • 3

    アジア系男性は「恋愛の序列の最下層」──リアルもオ…

  • 4

    ハリウッド大注目の映画監督「HIKARI」とは? 「アイ…

  • 5

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    24歳年上の富豪と結婚してメラニアが得たものと失っ…

  • 3

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 4

    ハリウッド大注目の映画監督「HIKARI」とは? 「アイ…

  • 5

    シャーロット王女が放つ「ただならぬオーラ」にルイ…

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    シャーロット王女が放つ「ただならぬオーラ」にルイ…

  • 3

    女性の胎内で育てる必要はなくなる? ロボットが胚…

  • 4

    24歳年上の富豪と結婚してメラニアが得たものと失っ…

  • 5

    2100年に人間の姿はこうなる? 3Dイメージが公開

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:高市 vs 中国

特集:高市 vs 中国

2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは