最新記事

Z世代

息子の嫁を買うために母は娘を売る──児童婚犠牲者の思いを代弁するZ世代が世界を変える

2019年11月22日(金)17時30分
西川彩奈(フランス在住ジャーナリスト)

「この因習は女の子に、自分を"無力"な人間だと感じさせます。実際に、私の友達はこんな状況で暮らしています」

・まだ彼女たち自身が子どもにも関わらず、出産をする
・学校に行かずに、家事をしている
・夫からの暴力を受けている
・嫁ぎ先の慣れない場所で暮らし、恐れている
・将来への希望が持てず、憂鬱な気持ちで暮らしている

原動力は「憧れ」、夢を叶えるツールは「ソーシャルメディア」

ソニータはその後、YouTubeの投稿から話題になった『売られる花嫁』のミュージックビデオを見たアメリカのNGOの協力を得て、アメリカで勉強するという夢を叶えた。渡米当時、ほぼ話せなかった英語はすぐに上達し、現在はワシントンのアメリカン大学で勉強をしている。そして、今では母もソニータの可能性を認め、「ファン」になったという。

また勉強の傍ら、児童婚の撤廃のために、彼女は国連のイベントなどの登壇やラッパーとしての活動を通し、過去の自分と同じ状況の若者たちにメッセージを送り続けている。

「若い女の子、そして男の子にとって重要なことが、『どんなことでも、可能性がある』という"希望"、そして将来のビジョンをしっかり持つこと。彼女たちが自分のために人生を歩むことができるよう、勇気づける曲を今後も作っていきたい」

「この世には何千もの苦しみや不平等があるけど、大きな希望だってある。 前に踏み出して、変えたいことを口に出すことで、絶望の代わりに希望に生きることができると思っています」

因習という束縛の連鎖に留まるか、飛び出るか――。その境界線を越える原動力になるものが、「強い憧れ」や「夢」だ。そして、それを"夢"で終わらせず、現実のものにしてくれるツールがソーシャルメディアなのかもしれない。

実際にアフガニスタン難民として抱いていた夢を米国で叶えたソニータの物語は、そんなことを私たちに教えてくれる。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

プーチン氏、イラン大統領と電話会談 核計画巡り協議

ワールド

中国軍が台湾周辺で実弾射撃訓練、封鎖想定 過去最大

ビジネス

中国、来年の消費財下取りに89億ドル割り当て スマ

ワールド

カンボジアとの停戦維持、合意違反でタイは兵士解放を
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    毎年2000万本以上も廃棄されるドイツのクリスマスツ…

  • 3

    アメリカ日本食ブームの立役者、ロッキー青木の財産…

  • 4

    アジア系男性は「恋愛の序列の最下層」──リアルもオ…

  • 5

    2100年に人間の姿はこうなる? 3Dイメージが公開

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    女性の胎内で育てる必要はなくなる? ロボットが胚…

  • 3

    アジア系男性は「恋愛の序列の最下層」──リアルもオ…

  • 4

    2100年に人間の姿はこうなる? 3Dイメージが公開

  • 5

    24歳年上の富豪と結婚してメラニアが得たものと失っ…

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    「恐ろしい」...キャサリン妃のウェディングドレスに…

  • 3

    女性の胎内で育てる必要はなくなる? ロボットが胚…

  • 4

    2100年に人間の姿はこうなる? 3Dイメージが公開

  • 5

    アメリカ日本食ブームの立役者、ロッキー青木の財産…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:ISSUES 2026

特集:ISSUES 2026

2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン