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恐怖、不安、自己認識──この世界の境界はどこに? 話題作 『ボーダー』主演女優インタビュー

Smelling Fear and Anxiety

2019年10月28日(月)12時35分
ニューズウィーク日本版編集部

――ティーナが実は異質な存在だと示すために、どんなことを表現した?

彼女は文明社会ではなく自然界に属している。森で動物たちと過ごすのが本来の姿だ。

だから車に乗ったり、家の中で暮らしたり、椅子に座ったりといった「人間がすること」全てに適応しなければならない。ティーナにとってそれは、つらくて居心地の悪いことだ。

――撮影現場の雰囲気は。

自分は大きな悲しみや孤独を抱えているのだと感じられた。周りの人たちは、私が実際につらい時間を経験していると理解し、とても支えになってくれた。

――撮影前に原作は読んだ?

ティーナを演じることが決まってから役作りの一歩として読んだ。原作者リンドクビストのほかの作品も読んだが、『ボーダー』は特に美しいと思った。とても暗くて辛辣な、だが美しい物語だ。

――お気に入りの場面は。

ティーナがヴォーレの暮らす宿泊所を訪れたとき、彼が外で虫を食べているのを見て「よしなさいよ、気持ち悪い」と言うところ。彼が「誰が決めた?」と聞くと、「みんなが」と答えるところが好き(笑)。

――映画は、ティーナにある行動を促すような場面で終わる。ティーナとヴォーレは再び付き合うと思う?

分からない。個人的にはそうはならないという感じがする。彼女がヴォーレに会うことはあるかもしれないが、その段階で再び関係を築くとは思わない。ただ、もっと後になれば、そうなるかもしれない。


BORDER『ボーダー 二つの世界』
監督/アリ・アッバシ
主演/エバ・メランデル、エーロ・ミロノフ
日本公開中


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